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NTT社長会見「中期経営戦略はNTTグループ再々編ではないと認識」


 NTT(持ち株)は、10月9日に開催された社長会見の内容を公開した。会見では和田紀夫社長が、同日に発表した中期経営戦略の方針について言及した。


中期経営戦略は「法改正を伴う再々編ではないと認識」

 NTTが発表した中期経営戦略では、NTT東西とNTT Comが共同で次世代IPネットワークを構築、さらに2006年夏にはNTTコミュニケーションズ(NTT Com)とNTTレゾナントを統合するとの方針が示されている。こうしたグループ間の連携・統合で公正競争を確保できるかという質問について和田社長は「他の事業者が提供できるサービスを、NTTは会社がバラバラだから提供できないのではお客様のお役にも立てず、事業者としての存在意義がない」と主張した。

 一方、NTT法との兼ね合いに関しては「NTT法の改正は資本関係を含め様々な要因を考える必要があるが、そうしているうちに技術の進歩は進み、お客様の要望も多様化、サービスそのものも融合するだろう」とコメント。「そのような流れに間に合わないおそれもあり、現行の会社法の範囲内ぎりぎりまで許されることをお願いしたい」との危機感を示し、「活用業務として認可申請すべきものは当然していく。その必要がないものもグループ内でお互いにアトバンテージを使い合っていくのは当然の流れ」との考えを示した。

 今回の方針が事実上のNTTグループ再々編あるいは再統合ではないかとの指摘には「これは定義の問題」と前置いた上で、「再編とは、1社体制だったNTTを長距離と地域で分割したことを指しており、再々編という場合はこの会社法の変更を伴うという意味で捉えている」と説明。「今回の見直しは役割の整理であり、法改正を伴う再々編ではないと認識している」とした。

 今後の組織の在り方に関しては、「我々の現段階での次世代ネットワークは、2010年でも既存顧客の半分しか収容できず、既存の固定網も存続する。その限りでは現行のNTT法の枠組みである会社の区分は守っていかざるを得ない」。一方、将来的にネットワークがフラットになった場合は「所有やオペレーションはそれぞれの事業会社が対応するため、組織を完全に変えなければならない訳ではない」とした上で、「お客様から変えた方がいいとの要望があれば対応していく」との可能性を示した。


KDDIと東京電力の統合にも「イコールフッティングをお願いしたい」

 10月13日に発表されたKDDIと東京電力の統合に関する記者会見では、KDDIが「NTTより安価に光ファイバを利用できる仕組みを構築する」との方針を示している。これに対して和田社長は「東京電力よりNTTが安ければNTTの回線を使う、というように選ばれて使われるなら、NTTとしても(東京電力の回線を)選ばせて欲しい。そういう意味でイコールフッティングをお願いしたい」と述べた。

 固定と携帯を融合するFMC(Fixed Mobile Convergence)に関し、NTTの固定系を他事業者へ開放することはあるのかと質問が飛ぶと、「お互いにWin-Winの関係になれれば拒否する考えはない」と、他社への開放の可能性も見せた。また、KDDIのウルトラ3G構想とは「報道などで知る限りだが、同じ通信事業者なので大きな違いはないだろう。お互いにつながり合わなければ意味がないものであり、基準や標準も合わせていくと考えている」とコメント。橋本取締役は「我々の次世代ネットワークはITU-Tで定められた国際標準に合わせていく考え」と補足した。

 総務省から携帯電話事業の免許が与えられた新規参入3社については「中期経営戦略の策定段階で想定済み」とし、「ドコモもこの事態を想定してさまざまな対策を打ってきており、今後は中期経営戦略の施策を実行に移していく」と、対応策はすでに講じているとした。


関連情報

URL
  NTT社長会見
  http://www.ntt.co.jp/kaiken/

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( 甲斐祐樹 )
2005/11/11 14:00

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