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VistaやLive向けガジェットには「数」と「多様性」を期待

マイクロソフトが報道関係者向けに説明会

 マイクロソフトは3日、報道関係者向けのセミナーを開催し、Windows VistaのサイドバーとWindows Live向けに展開しているガジェットや、地図プラットフォームの「Virtual Earth」について、同社オンラインサービス事業部の担当者が方向性などを説明した。


Windows Liveではソフトウェア開発者が重要な位置付け

マイクロソフトオンラインサービス事業部Windows liveチームシニアマネージャーの安藤浩二氏

Windows Liveのエコシステム
 まず、オンラインサービス事業部Windows liveチームのシニアマネージャーである安藤浩二氏は、デスクトップやブラウザ上で提供されているガジェットの定義について、「マイクロソフトではWeb 2.0という言い方は使っていない」と前置いた上で、Ajaxを含む新しいユーザーエクスペリエンスを実現するものだと説明した。

 次に、同じくオンラインサービス事業部で展開しているMSNとWindows Liveの違いについて、「Windows Liveは、あくまでプラットフォームとして提供しているアプリケーションの部分。人と人を繋いだり、自分自身が誰かに働きかけたり、その上に何かを広げていくのがWindows Live」と説明。マイクロソフトが用意したコンテンツなどを利用してもらうポータルサイトとしてのMSNとブランド分けしているとした。

 さらに、Windows Liveがソフトウェア開発者を非常に重要な位置付けとしていることも強調。「Windows Live SDKや開発者のフォーラムなど、サービスを拡張させる、あるいは新しくこの上にソフトウェアを作って公開する仕組みも提供している。ガジェットやVirtual Earth、あるいはメッセンジャーも拡張できる」として、「Windowsで培ってきたエコシステムを、インターネット上で公開されるAPIによって、開発者にも携わっていただきたいというのがマイクロソフトのメッセージだ」と述べた。


ガジェット開発には「数」と「多様性」を期待

ガジェットの技術的構造

Liveガジェットとサイドバー・ガジェットの位置付け
 安藤氏はこの後、ガジェットがいかに技術的には簡単な構造で出来ているかを説明したが、今のところ「Windows Live Gallery」に公開されているサイドバー用の日本語版ガジェットは45個にとどまっている。全言語では635個公開されており、このうち日本語でも動くものが100個以上あるものの、日本の開発者が日本のユーザーだけを対象として開発したガジェットはまだ多くない。安藤氏は、今後のガジェット開発に対して「期待しているのは、数」とコメントする。

 安藤氏によれば、もともとロングテールをカバーするために生まれたのがWindows Liveだった。「多様性をいちばん期待している」とし、ウィザードなどで、もっと簡単にガジェットを作れる仕組みを提供したいという。

 なお、ガジェットが多くの開発者によって数多く提供されるようになれば、悪意のあるガジェットが配布される可能性も考えられるが、この点については「Windows Liveのガジェットに関しては、ブラウザの中で、さらにサンドボックスの中で動かしている。構造上、システムのリソースにはアクセスできないような仕組みになっている。ハードディスクに直接アクセスするということはまずできないため、ウイルスを仕込むことも基本的にはできない」と説明した。

 一方、デスクトップのサイドバーのガジェットに関しては、「サイドバーという新しいプラットフォームで展開している。もちろん、マイクロソフトも最新の注意を払ってセキュリティのチェックをしているが、いかんせん、毎月毎月セキュリティパッチが公開されている。外部から悪意のある攻撃があった場合、100%安全とは言い切れない。今考えうる限り、安全だと言い切れるレベルの技術的なインプリはしているが、新しいテクノロジーなので、そこで直接金銭のやりとりは避けてくださいと言う必要はある」とした。


「Live Search 地図検索」の機能は簡単にマッシュアップで利用可能

マイクロソフトオンラインサービス事業部サーチチームプロダクトマネージャーの川岸達之氏

ベースとなるVirtual Earthと、これを利用した各種サービスとの関係
 続いて、オンラインサービス事業部サーチチームプロダクトマネージャーの川岸達之氏がVirtual Earthを紹介した。マイクロソフトでは、Virtual Earthを利用したコンシューマ向けサイト「Live Search 地図検索」をベータ提供しており、川岸氏はまず、この地図検索の機能を紹介した。

 具体的には、地名やスポットの検索機能、地図と航空写真を重ねて表示する「ハイブリッドビュー」のほか、まだ日本版では提供されていないが、建物などを3D表示する「Virtual Earth 3D」、斜め45度上空からの「Bird's eye view」、自動車のルート検索なども紹介。地図、衛星/航空写真、3D表示、Bird's eye viewを合わせ「4つの地図の見方を提供できる、行ったことのない場所についても各種モードで地域の情報を確認することができる」とアピールした。

 そして川岸氏は、「Live Search 地図検索にいろいろな機能が実装されていると思われるが、じつはVirtual Earthのプラットフォームレベルで実装されている機能。何かアプリケーションを作りたい開発者は、基本機能はVirtual Earthに委ねることができる」として、マッシュアップにおける使いやすさも強調。「Live Search 地図検索で提供されている機能のほぼすべてが、単純なマッシュアップで可能」だという。

 これもまだ日本語版は用意されていないが、Virtual Earthのサンプルコードなどを提供する「Virtual Earth Interactive SDK」も紹介。Virtual Earthの各モードの地図が、わずか20行ほどのコードで自分のサイトなどに表示できることを説明した。

 なお、Live Search 地図検索の日本語版における3D表示などについては、「地形データは地球全体あるが、日本に関してはビルのデータは提供されていない。提供を待って、日本でも3Dを提供したい」とした。ただし、その時期については「予定はあるが、具体的な日付は未定。現在、準備中」と述べるにとどまった。


Virtual Earthで、ルート検索を行なったところ 2Dハイブリッドビュー

3Dハイブリッドビュー 斜め45度からのBird's eye view

地形の3D表示(グランドキャニオン) 地形の3D表示(富士山)

Virtual Earth Interactive SDK 左の地図を表示するためのソース

関連情報

URL
  Windows Live Gallery
  http://gallery.live.com/
  Virtual Earth(英文)
  http://www.microsoft.com/virtualearth/
  Live Search 地図検索
  http://maps.live.com/
  Virtual Earth Interactive SDK(英文)
  http://dev.live.com/virtualearth/sdk/

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( 永沢 茂 )
2007/04/03 20:19

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