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記念日をロマンチックに祝ってほしい ~アニバーサリープランニング社長 田中彩子氏(前編)
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アニバーサリープランニング社長 田中彩子氏。大学生時代に起業した「女子大生起業家」なのだが、ほんわかおっとりしていて可愛らしい。IT系にも女性社長にもあまり見られないタイプだ
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誰にでも記念日があるものだ。誕生日、つきあい始めた記念日、結婚記念日などから、卒業式、入社式、会社の創業日。家族、親しい友人、恋人、会社、それぞれに記念日はある。皆さんはその日をどう過ごしているだろう。
よく、女性は記念日を大切にするが、男性は記念日自体を忘れていて女性に叱られることが多いという話を耳にする。また、せっかく覚えていても、記念日に何をしたらいいのか皆目見当がつかない方も多いだろう。
そんな男性諸氏の味方になってくれるかもしれない会社がある。記念日を演出してくれるアニバーサリープランニング会社「Anipla(アニプラ)」だ。24歳になったばかりという若き女性社長、田中彩子氏は、「記念日は大事です。たった1日記念日をお祝いしてもらえるだけで、女性はあとの364日を尽せるものなんですよ」と言う。
起業からすでに2年目が過ぎた。“記念日の会社”ということで、何となくブランドでかためたデコラティブなネイルのいまどきの女性を想像していたのだが、その予想は見事に外れた。いわゆるキャリア女性というイメージとも違う。ほんわかおっとりしていて、可愛らしい。ふわふわっとして特に押し出しも強くない、IT系にも女性社長にもあまり見られないタイプだ。
「お菓子が好きなんです~、食べませんか~?」と映画「チャーリーとチョコレート工場」で有名になったWONKAチョコレートをくれた。インタビューは終始、「こんなの信じられないですよね~」とか「わー、ほんとごめんなさい~」とか、そんなほんわかしたムードで進められた。けれど、そんな彼女は大学在学中に起業した、“女子大生起業家”だったのだ。普通の女子大生はなぜ起業したのか。この会社で何をしたいと思っているのか。起業にかける思いを聞いた。
● 飽きっぽかった自分が唯一続けられたこと
ずっと飽きっぽい子と言われていました。バレエ、ピアノ、習字、図工、スケート、音楽教室、塾など習い事を色々としていたんですが、どれも1~2カ月で辞めてしまって続かなかかったくらい。将来の夢も“お嫁さん”という、本当に普通の子でした。
高校、大学でやったバイトもどれも続かなかったですね。カラオケボックス、水泳の先生、児童館の先生、回転寿司の店員、マッサージ店員など、いろいろとやりました。
あるカラオケボックスでバイトをした時は、かっこいいお兄さんがいたからバイトをしようと思ったのに、いざ行ってみたらその人がいなくて。がっかりして1日で辞めてしまったこともあります(笑)。ダメですよね、迷惑ですよね。野球場でビールを売るビアガールもやったんですが、あまりに重くて1時間で辞めてしまったり。
そんな私が、唯一2年間も続いているのがこの会社です。お客様が喜んでくださるので、やりがいもあるし楽しいしアイディアも次々と湧いてくるんです。
● 仕事って面白い!
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目が大きくて話している間に表情がくるくる変わる。身振り手振りも表情豊か。話がひと区切りすると、「あの-、こんな話で大丈夫ですか~? お忙しい中来ていただいたのにすみません~」と恐縮したように言う。WONKAチョコといい、背伸びしない気遣いに好感です!
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大学では心理学を学びました。でも、覚えているのは、「男は女よりストーカーになりやすい」くらい(笑)。エスカレーター式の学校にいたので、行ける学部の中から、興味があった児童学部と心理学部の2つから、悩んだ末に決めたのです。
浮浪者のおじさんと話したのがきっかけで、「いろいろな人の心理って面白そう」と思ったのがきっかけだったのかな。駅のホームで、椅子に座っていたおじさんとたまたま隣り合わせて話したことが印象に残っていて。「俺も大変なんだよ」「日本経済のせいで」みたいなことを言ってましたね。たしか、心理学部の面接でもその話をしたんですよ。
大学ではバイトをしたり、友達と海外旅行に行ったり、サークルを転々としたりと普通に過ごしていました。テニスやイベントサークルの他に、真面目な学生団体や就職応援学生団体にも入りました。東大生や慶応大生などと知り合って入ることになったのですが、いざ入ってみたらこれが面白くて、少しずつ仕事に興味が出てきたのです。
● 「私、アニプラやるね!」
就職応援学生団体では、ベンチャー企業と学生のマッチングや、就活生専用のSNSなどをしていました。そういうものに出会い、インターンという言葉を知り、自分でもやってみる気になったのです。WOWOWの子会社にインターンとして行ったのですが、大きな会社は入り口でIDカードで認証して扉が開く仕組みなんですね。いろいろなことが新鮮で、「就活って面白い、仕事したい!」と思いました。
そんな時です。街を歩いていて、友達に「記念日って英語って何だっけ」と聞いたら、「アニバーサリーだよ」と言われて、その2秒後くらいにアニプラのアイディアが涌いてきたのです。その場所は、池袋の駅構内のトイレの前で、ちょうどおじさんが吐いているところで(笑)。そんな場所だったんですけど、「私、“アニプラ”になるね!」とその時言いました。
そのときにビジネスモデルがあったわけじゃありません。“アニバーサリープランナー”というイメージだけがありました。どうしたらなれるのか考えたのですが、思い当たる会社がなかったので、「これは起業かも」と思ったのです。会社を作るのは楽しそうだと思いました。大学3年の秋のことです。
● ドリコムのビジコンで優勝、起業へ
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アニプラは自分ひとりのアイディアだが、優勝賞金は山分けに。「グループになった2人がわたしのプランに賛成してくれたから、逆にラッキーだったと思うんですよね」
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「ドリコムビジネスプランコンテスト」というものがあります。ドリコムが2005年から開催している、大学生に事業を作り出す喜びを実感させ、将来の起業意識を高めることを目的としたビジネスコンテストで、すでに1000人以上が参加、6社が起業しています。日本最大のビジネスコンテストポータル「BizGP」を運営する株式会社ist(イスト)や、Webサイトの構築会社株式会社バリューシェアなどです。
全国の大学生を対象に参加者を募集して、書類審査で選ばれたチームが合宿形式で「新規事業立案」「事業戦略立案」「ファイナンス」の授業を受け、まずは事業戦略やビジネスプランの立て方を学習します。その後、自分たちの立てたビジネスプランでコンテストを開催するというものです。優勝すると100万円がもらえます。コンテストにはIT系が多かったですね。最初の資本金などが少なくて済むので、学生にはとっつきやすいようです。
“アニプラ”のプランを思いついた直後にこのコンテストを知り、早速参加することにしました。私は個人参加だったのですが、個人参加は強制的に3人グループにさせられて、慶応大学の男の子と青山大学の女の子と組むことになりました。グループで1つのビジネスプランしか出せない仕組みです。
ところが、2人ともビジネスプランがまったくなかったんです。選抜されてきているはずなのにどうして? と思ったのですが、これは逆に言えばチャンスですよね。2人が自分のビジネスプランを持っていて、どうしても譲ってくれなかったら、“アニプラ”を出せませんから。それで、すんなり“アニプラ”を推してもらえることになったんです。
コンテストでは、ビジネスを実現するにはいくら必要かを提示しないといけないのですが、「必要なのはゼロ円です」と言ったのがウケたみたいでした。「あくまでプロポーズなどを演出する仕事なので、サイトも必要ないし、とりあえずお客さんになってくれたら嬉しいです」とアピールしたのです。
ドリコムの内藤社長のほか、ネットエイジの西川社長やグリーの田中社長が審査員だったのですが、「タダでできるところがいい。何かの瞬間にすごく儲かるかもね」と評価してくださいました。
結局優勝して100万円をいただいたのですが、賞金はグループの2人と山分けしました。彼らと組んだのでなければ、プランをコンテストに出せなかったかもしれないですし。優勝できて、「これはうまくいくかも」という気持ちになってきました。そこで、起業を決めたのです。ドリコムの内藤社長やグリーの田中社長は、この時の縁で、アニプラのホームページでもインタビューで登場してくださっています。
(後編につづく)
関連情報
■URL
アニバーサリープランニング
http://anipla.jp/
■関連記事
・ 記念日をロマンチックに祝ってほしい ~Anipla社長 田中彩子氏(後編)(2008/07/15)
2008/07/14 11:19
取材・執筆:高橋暁子 小学校教員、Web編集者を経てフリーライターに。mixi、SNSに詳しく、「660万人のためのミクシィ活用本」(三笠書房)などの著作が多数ある。 PCとケータイを含めたWebサービス、ネットコミュニケーション、ネットと教育、ネットと経営・ビジネスなどの、“人”が関わるネット全般に興味を持っている。 |
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