被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

パチンコの必勝法を教えて欲しくて80万円振り込んだ

 2019年8月、石川県の大学生にパチンコの打ち子を募集するメールが届きました。打ち子というのは、パチンコやパチスロを決められた時間プレーすることで報酬をもらう人のことです。パチンコやパチスロの勝ち負けに関わらず、お金がもらえます。雇う側はさまざまです。腕のいい個人が手が欲しくて雇ったり、グループで新店オープンのサービスを狙いに行ったり、パチンコ屋が繁盛していることをアピールするために雇ったりすることもあるようです。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 大学生は興味を持って、パチンコの打ち子を募集しているサイトにアクセスしました。すると、サイトから「登録には管理費や保証金が必要」と言われ、指定された複数の口座に合計80万円を振り込みました。

 働いてお金をもらうために登録したのに、お金を振り込んでしまったのは、パチンコの必勝法を教えてもらえると勘違いしたからだそうです。

 当然、これはネット詐欺です。振り込んだあと、連絡が取れなくなったため、大学生が警察に相談したのです。

 同じように、競馬や競輪の必勝法を伝授すると言い、お金を要求されることもあります。ひどいものになると、ロト6や宝くじにまで必勝法があると謳っていることもあります。

 「あり得ないほどうまい話はあり得ない」と、肝に銘じてください。本当に競馬や競輪、宝くじの必勝法があるなら、黙って自分で稼いでいればいいのです。とはいえ、この程度の突っ込みにはきちんと反論を用意しています。ネット詐欺に遭わないためには、頭から詐欺と判断し、近寄らないことが重要です。話を詳しく聞いてから自分で判断しよう……などと考えることもありません。

 問題は、打ち子詐欺です。打ち子そのものは普通に行われており、報酬もきちんと払われることが多いです。時給換算するとあまり効率はよくないのですが、何よりラクです。さらに、それを支払う人たちがいるということは必勝法があるに違いない、と考えてしまうことがあります。そのため、80万円支払っても、すぐに取り戻せると思い込んでしまうのです。

 まずは、よく考えることが重要です。素人に教えてすぐ実行できる必勝法があるのなら、とっくに業界は破綻しています。業界は縮小傾向にありますが、これは他の要因によるもので、2018年の売上高は15兆8438億円です。必勝法はなく、やはり多くの人は負けているのです。

 小遣いや副収入はみんな欲しいところです。しかし、その心の隙を犯人達は狙ってきます。メールでおいしい話が来たら、ほぼネット詐欺確定です。欲望に目がくらんだら、犯人の思うつぼです。パチンコの打ち子登録詐欺は、古くからある定番でもあります。これらのネット詐欺事例を知っておくことで、自分や自分の周りの人が被害に遭わないようにしておきましょう。

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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。