被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

2回目の「特別定額給付金」が支給される? うっかり騙されて個人情報を入力してしまった

 総務省をかたり、特別定額給付金に関する通知を装うフィッシングメールが出回っています。2020年4月に実施され、全国民に10万円が給付された特別定額給付金ですが、フィッシングメールでは、その2回目が支給されるといった内容になっています。

 特別定額給付金についてはテレビでも時々話題になるので「やっと決まったか」と思う人もいるでしょう。1人当たり10万円なので、コロナ禍で収入が減っている家庭にとってはとてもありがたいものです。しかし、残念ながら現時点では何も決まっていません。フィッシング対策協議会や京都府警察本部生活安全部サイバー犯罪対策課でも注意喚起を行っています。ネット詐欺に騙されないように注意しましょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 フィッシングメールのリンクを開くと、特別定額給付金のオンライン申請を装ったフィッシングサイトに誘導され、氏名、住所、電話番号、生年月日、クレジットカード番号、有効期限、認証コードなどの入力を求められます。入金される側なのに、認証コードまで求めていることで、変だと気付くこともできますが、最初から信じていると入力してしまう人もいるでしょう。

 次の画面では、運転免許証やパスポートの写し(画像のアップロード)などを要求してきます。身分証明書付きの個人情報なので盗まれたら悪用し放題です。

 当初は、フィッシングサイトのURLは「https://soumui.●●●●.com/」や「https://soumui.●●●●.net/」など総務省と勘違いされるように偽装する文字列が多かったのですが、時間を追うごとに無茶苦茶な文字列のURLが続々と現れました。

 確かに、URLをチェックするデジタルリテラシーがある人はそもそも騙される可能性が低いので、適当なURLでも効果はあるのかもしれません。現在、フィッシングサイトはすぐに情報が共有され、速やかにフィッシングサイトとして登録され、アクセスできないようになります。そのため、ネット詐欺を仕掛ける側は時間との勝負です。

フィッシングメールに記載されたURLを開くと、個人情報やクレジットカード番号を求められます(画面はフィッシング対策協議会より)

 メールによっては誤字脱字があったり、一部の漢字が中華フォントになっているなど、ネット詐欺を見破る手がかりはあります。しかし、多くの人が待望している特別定額給付金に関する内容なので、一定数が騙されてしまうことでしょう。メールだけでなく、SMSで届いている事例も、Twitterで報告されています。

 詐欺と見破っているなら、削除するだけでOKです。怪しいメールのURLは開かない、という原則も守って下さい。特別定額給付金に関する詐欺について、総務省のホームページなどを確認することも重要です。これだけで、フィッシング詐欺は回避できるのです。

 対策としては、この事例の手口を知ることが効果的です。普段からスマートフォンやPCを使っていないシニア層が、フィッシングメールを見て申請しようと思い立ってしまうことが危惧されます。ぜひ、ご両親などに教えてあげて下さい。

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高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと