清水理史の「イニシャルB」

スマホに直差しできるUSBメモリー「PQI Connect 201(32GB)」

 PQIから、スマートフォンやタブレットのMicroUSB端子に直差しできるUSBメモリー「Connect 201」が発売された。スマートフォンやタブレットへのデータ転送や外部ストレージとして利用できる製品だ。実際の使い勝手を検証してみた。

どうせならスマホにも差せる方がいい

 Nexus 7を使っているのであれば、外部ストレージとして、ぜひ1つ。

 そうではないなら、次回、USBメモリーを買うタイミングで、スマホにも差せる本製品を選んでおくと、何かと便利、かもしれない。

 PQIから発売された「Connect 201」を評価するとすれば、こんな感じになるだろうか。特定の環境では待望の製品と言えるが、多くの場合、代替え手段があるため、投資するかどうかの判断が難しい製品と言えそうだ。

 今回、取り上げたPQI Connec 201は、USB OTG(On-The-Go)規格に対応したUSBメモリーだ。片側に一般的なUSB(A)オス、反対側にmicroUSB(B)オスの端子を備えた個性的な形状となっており、PCに装着して利用することはもちろんのこと、スマートフォンやタブレット端末のmicroUSB端子に接続して外部ストレージとして認識させることができる。

USB OTGに対応したPQI Connect 201(32GB)。PCとスマートフォンの両方に直接差せるUSBメモリーとなっている
手のひらサイズで非常にコンパクト

 USB OTGは、もともとはデジタルカメラとストレージなどのように、PCレスの環境でUSB機器同士を接続するために追加された規格だが、スマートフォンやタブレットの登場で、その利用シーンが現実に身近になり、再び注目を集めるようになってきたことになる。

 製品としては、シンプルで、前縦したように両端に接続端子が備えられているのみで、一般的なUSBメモリーのようにアクセスランプとして動作するLEDなどは搭載されない。microUSB端子側は、持ち運び時に端子を保護するためのキャップが属していることと、キャップと本体側の両方に用意されたストラップホールにストラップを取り付けられるようになっているのが特長と言えば特長となる。

 容量は、今回、入手したモデルは最大の32GBで、これ以外に16GB、8GBのモデルがラインナップする。価格は、2013年9月時点のamazon.co.jpでの実売価格が32GBで4180円、16GBで2780円となっており、一般的なUSB 2.0対応のUSBメモリーと比べると、倍以上の価格となっている。この価格差に付加価値を見いだせるかがポイントとなりそうだ。

PC接続用の一般的なUSB端子
スマートフォンやタブレット接続用のMicroUSB端子
MicroUSB側を保護するためのキャップが付属している
キャップを閉めたところ。横のストラップホールで本体とキャップの両方をストラップに取り付けられる

アプリから汎用的に使えるストレージ

 使い方としては、PCは説明の必要もないだろうが、USBポートに接続するだけと、通常のUSBメモリーと何ら変わらぬ方法で利用できる。

 ドライブのプロパティを見ると、ファイルシステムはFAT32となっており、CrystalDiskMark 3.0.2fの結果は以下の通り、ライトが若干遅い印象があるが、リードはシーケンシャルで18MB/s前後と、USB 2.0対応のUSBメモリーとしては一般的な値だ。

PCに接続した様子。普通にUSBメモリーとして利用できる
CrystalDiskMark 3.0.2fの結果

 一方、スマートフォンやタブレットでの使い方だが、こちらも基本的にはつなぐだけでOKだ。Connect 201のMicroUSB端子をスマートフォンやタブレットに接続すれば、自動的にストレージとして認識される。

 きちんと認識されていれば、[設定]アプリのストレージで、USBストレージとして容量などを確認することが可能だ。

 このように、基本的にシステムからUSBストレージとして認識されるため、アプリによっては(ストレージとして内蔵とMicroSDしか想定していないアプリは不可)、汎用的にストレージを利用することができる。

 PQIが提供している「PQI Connect+」というアプリを利用してストレージにアクセスすることもできるが、ESファイルエクスプローラーなどのAndroid向け汎用的なファイル管理アプリを使ってアクセスすることができるうえ、Officeアプリなどからもファイルの保存先としてストレージを認識することができる。

 このため、Connect 201を使ったスマートフォンやタブレット間のデータ移行も現実的で、Connect 201を相手に手渡しても、何らかのアプリを使ってデータを開いたり、コピーしてもらうことが手軽にできるだろう。

スマートフォン(HTC J Butterfly)に装着した様子。コンパクトなのでスマートフォンに装着しても邪魔にならない
AQUOS PAD(SH-08E)では、ステータスバーにUSBのアイコンが表示されるうえ、ストレージからもUSBストレージとして容量を確認可能
PQI Connect+を無償でダウンロード可能。複数ファイルやフォルダのコピーも簡単にできる
汎用的なファイル管理アプリやOfficeソフトなどからもストレージとして認識可能

 また、標準のPQI Connect+には、USBメモリー上の画像、音楽、動画ファイルを自動的にリストアップしてプレーヤーで再生できる機能も搭載されているので、これを利用することで、スマートフォンやタブレットの増設ストレージ的な使い方もできる。再生できるフォーマットはMP3やMP4など、スマートフォンやタブレットが対応しているものに限られるが、音楽や動画など、サイズがかさばるデータをConnect 201に保存しておき、再生したいときだけ接続して利用するといった使い方ができる。スマートフォンで撮影した写真の待避先として活用するのも手だろう。

 もちろん、microSDが使えれば、それを使えば済むことだが、microSDよりも遙かに抜き差しが手軽にできるのが、Connect 201ならではのメリットだ。事実上、半固定的なストレージとしてしか使えないmicroSDとは異なり、まさに「リムーバブル」なストレージとして利用できることになる。

PQI Connect+では、メディアファイルを抽出して再生することが可能。再生には別途アプリが必要で、アプリが対応するフォーマットのみ再生可能

Nexus 7では有料アプリで対応可能

 このように、冒頭で触れたように、手元にあると何かと便利なConnect 201だが、利用する際には注意点がある。ストレージとして認識するスマートフォンやタブレットが限られるという点だ。

 対応機種は、製品情報ページからアクセスできるコンパチビリティリストを参考にして欲しいが、Android 2.3(Galaxy S2)も含まれるものの、基本的には4.0以降の機種がほとんどとなる。これ以外の機種では使えない場合もあるので、購入を慎重に検討すべきだろう。

 ただし、リストにない機種でも工夫次第では使える場合もある。たとえば、手元のLTE対応版Nexus 7(2013)では、標準のPQI Connect+アプリでは、接続したストレージを認識させることができなかったが、有料アプリの「Nexus Media Importer」を利用することで、Connect 201のデータにアクセスすることができた。

LTE版Nexus 7(2013)でも利用可能
ストレージの参照にはNexus media Importerを利用する必要がある

 Nexus 7はMicroSDに対応していないため、コンパクトで接続も簡単なConnect 201を外部ストレージとして使えるようになるメリットは非常に大きい。Nexus 7ユーザーの中には、USB-OTG対応のケーブルと市販のUSBメモリーを使っている人も少なくないが、こちらの方が手軽かつ持ち運びも便利なので、場合によっては移行もおすすめしたいところだ。

 以上、PQIのConnect 201を試してみたが、Nexus 7のストレージとして使えるメリットも大きいが、一般的なスマートフォンやタブレットでも、MicroUSBにサッと接続するだけで、データの転送やビデオなどの再生に使えることを考えると、手元にあると便利な製品と言える。

 USBメモリーの1つや2つは、鞄の中に入れて常に持ち歩くのだから、その中の1つくらいは、PCだけでなく、スマートフォンやタブレットにも接続できる本製品にしておくと、いろいろなシーンで役立つことだろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。