急遽テレワーク導入!の顛末記

「iPhoneだけでどこまで仕事できる? 画像編集、圧縮、PDF加工をやってみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(78)

ノートPCを持ち歩かなくても、大抵の仕事がiPhoneだけでできそう

PCで使っているソフトの代わりに使えそうなアプリを、いろいろ試してみた

 先週は簡単な仕事をiPhoneだけでこなせる環境を作ってみたが、こうなるともう一歩進んで、より複雑な作業もできないか試してみたくなる。もしも自宅のPCが壊れた時、移動中に急ぎの案件が入った時のためにも、「iPhoneで何ができるか?」を把握しておきたい。

 ……この記事を書いている時点で、東京都で4回目の緊急事態宣言が解除されてから57日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はさまざまなアプリを駆使して、iPhoneでできる作業を増やしてみた。

【今回のハイライト】
写真と取り込んで補正やトリミング
データを圧縮してひとつのファイルに
ログインパスワードをPCと共有

11月19日(金): SDカードから写真を取り込み、補正やトリミングしてみた

 先日はiPhoneで原稿を書いていたが、それと一緒に掲載する写真やキャプチャ画像が全てそろった。せっかくなので、これもiPhoneで加工してみることにする。

 画像を記事に掲載する際には、不要な部分をトリミングしたうえで、一部にモザイクをかけることもある。こういう本格的な画像加工には「Snapseed」というアプリが使えそうだ。Googleが開発したアプリで、全29種類と多彩な編集ツールを搭載している。

「画像調整」や「切り抜き」などの編集ツールが利用できる

 さっそく、「切り抜き」ツールを使って、画像から不要な部分をトリミング。SDメモリーカードから取り込んだ写真は、「画像調整」ツールで明るさやコントラストを補正してみた。こういう細かい操作をする時は、先週に用意したアダプタが本当に便利だ。マウスを使えたおかげで作業がはかどったので、これなら記事に必要な画像の加工を、iPhoneだけでも片付けられそうだ。

切り抜き範囲の指定などの細かい操作は、マウスの方がやりやすい

 ただ、「Snapseed」にはモザイク加工の機能がないので、別のアプリを利用することになる。モザイク加工のアプリはいろいろあるが、今回はLINEの機能を利用することにした。この機能は“指でなぞった範囲をモザイク加工する”というもの。PhotoshopやGIMPのような精密な範囲指定はできないが、名前や電話番号を隠すなど、ちょっとしたモザイク加工には使えるだろう。

メッセージの送信画面で写真を選択すると、編集機能からモザイク加工のツールを利用できる

11月22日(月): 納品用のファイルの圧縮も、iPhone上で操作できる

 記事の掲載に必要な素材一式が準備できたので、編集部に納品することにした。いつもは、原稿と画像を一つのファイルに圧縮したうえで、オンラインストレージなどを使って発送しているが、これもiPhoneだけでできないか試してみよう。

 まず、ファイルの圧縮についてだが、これにはiPhone標準の「ファイル」アプリが利用できる。このアプリはiPhoneやオンラインストレージに保存されたファイルを一覧で表示する、いわばWindowsのエクスプローラーのようなもの。画面上で複数選択したファイルを、Zipファイルに圧縮することも可能だ。

「ブラウズ」のTOP画面で、画面右上のアイコンをタップして表示されるメニューから「編集」を選択。OneDriveをオンにして、保存したファイルを表示できるようにする
OneDriveにアップロードしたファイルを選択。右下のアイコンをタップして表示されるメニューから「圧縮」を選択する

 ただ、別々の場所に保存されたファイルをまとめて圧縮することはできないので、今回は原稿が保存されたOneDriveに、昨日加工した写真や画像をアップロードすることにした。そのうえで、原稿と画像を「ファイル」アプリ上で一括選択。メニューから「圧縮」を選ぶと、OneDrive上に「アーカイブ.zip」という圧縮ファイルが作成される。

 あとは、ファイルの共有URLを編集部に送れば、原稿の入稿は無事完了。スマホに保存された画像を圧縮して送るなら、いちいちPCに取り込むよりも、こちらの方がスムーズかもしれない。

「OneDrive」アプリで圧縮ファイルを選択し、画面上の「共有」をタップ。表示されたメニューで「共有」を選択すると、共有URLをメールなどで送信できる

11月24(水): PDFの書類を表示! 修正依頼には「注釈」機能が便利

 同僚からPDF形式の書類が届いたのだが、内容に不備があったので、修正の依頼をすることにする。いつもなら、「PDF-XChange Viewer」を使って修正内容を書き込むのだが……。この作業もiPhoneでできないだろうか?

 iPhoneでPDFファイルを開く方法はいくつかあるが、今回はAdobeの公式アプリ「Adobe Acrobat Reader」を利用することにした。このアプリではiPhoneに保存されたものだけでなく、OneDriveなどのオンラインストレージに保存されたファイルも開くことが可能。有料会員になると書類の編集、画像のPDF化なども行える。

 とはいえ、無料版でも「注釈」機能は使えるので、これを使って修正内容を書類に記載。あとは、「コピーを送信」機能を使うことで、ファイルをメールで同僚に送り返すことができた。「PDF-XChange Viewer」のような複雑な操作はできないが、簡単な修正指示ならこれでも対応できそうだ。

注釈機能で書類上にアイコンを配置し、メモ書き込むことができる

11月25日(木): ブラウザーでの作業の続きをiPhoneで!

 朝からネットでリサーチをしていると、会社から電話があって出社することに。移動中の電車内で作業の続きをしようと、iPhoneを起動。Google Chromeのアプリを起動した。

 Google Chromeは同じアカウントでサインインしていると、履歴やブックマーク、リーディングリストなどが同期される。iPhone版ではPCで「最近使ったタブ」を一覧表示することもできるので、ここから外出する前に開いていたページを表示。リサーチの続きを行うとともに、資料としてストックしておきたいページをリーディングリストに登録しておいた。

画面下のバーから「設定」を開き、「同期とGoogleサービス」→「同期の管理」と操作すると、同期する内容を指定できる
新しいタブを開いた画面に表示される「最近使ったタブ」アイコンをタップすると、PCで開いていたページの一覧が表示される
アドレスバーの右隅にあるアイコンをタップして「後で読む」をタップすると、開いているページがリーディングリストに登録される

 出社後にオフィスのPCでGoogle Chromeを起動すると、リーディングリストの内容が同期されていた。履歴から先ほどまで開いていたページも表示できたので、そのままリサーチを続けることに。テレワークが始まってからは、自宅と会社を行き来しながら仕事をしているが、Google Chromeなら作業の状態を別の端末に引き継げるので便利だ。

11月26日(金): WebサービスのIDとパスワードをPCと共有してみた

 今日は午後から会社で仕事をすることに。iPhoneで原稿を書いていると、ある案件でWebサービスにログインする必要が出てきた。そのログインにはIDとパスワードが必要なのだが……。

 こういう時には無料のパスワードマネージャーの「Bitwarden」が役に立つ。「Bitwarden」ではブラウザー上でIDとパスワードを入力した際に、それをクラウド上に保存。一度保存したIDとパスワードは、次回のログインの際に自動で入力してくれる。

 「Bitwarden」はPCのブラウザーの拡張機能だけでなく、iPhone用のアプリも用意されており、iPhoneの標準ブラウザーSafariと連動してIDとパスワードを自動で入力できる。これで、普段PCで利用しているWebサービスに、iPhoneからも簡単にログインできるようになった。

Safariで「Bitwarden」を利用するには、「設定」アプリで「パスワード」→「パスワードを自動入力」と操作して、「Bitwarden」をタップする
入力ページにアクセスすると、画面下のメニューからクラウドに登録されたIDやパスワードを自動入力できる

 先週に引き続きiPhoneを普段の業務に使ってみたが、ほとんどの作業をこなすことができた。Bluetoothキーボードとマウスが手元にあって、移動先にモニターがあれば、いちいちノートPCを持ち歩く必要はないのかもしれない。

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※編集部より
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飛田九十九