Windows 7サポート終了まで約1年! どうするWindows 10アップグレード

迫る「Windows 7サポート終了」、そのとき起こる困りごととは?

「サポート=電話相談」だけじゃない、OSの「無防備化」や対応ソフト/ハードの縮小など

 2020年1月14日。Windows 7のサポート終了まで約1年と、いよいよ期限が迫ってきました。マイクロソフトからの早めの告知で、2014年4月にWindows XPのサポートが終了したときよりも混乱は少ないと考えられますが、いざ自分がその立場になると、「具体的にどうすればいいのか分からない」という人も少なくないのではないでしょうか?

 集中連載の初回となる今回は、サポート終了とはどういうことなのか? どうしてWindows 7を使い続けることがいけないのかを解説します。

オリンピックイヤーはWindows 7のサポート終了イヤー

 2020年1月14日。東京オリンピックの開催に先駆けて、いよいよWindows 7のサポートが終了します。

 最近では、さまざまなところで告知が進んでいるため、「どうやら、Windows 7からWindows 10に移行することになりそうだ……」と、何となく理解している人も多いかもしれません。ただし、お金も手間もかかるし、何より「どうして?」と、腑に落ちないという人もいることでしょう。

 そこで今回は「サポート終了」とは何か? との点に迫ってみたいと思います。

 ちなみに、「EOS」という言葉をちらほら耳にしたり、目にしたことがある人もいるかもしれませんが、これは「End Of Support」の頭文字。文字通り“サポートが終了する”という意味です。企業などでは、社内資料や外部からの提案資料などで、こうした言葉が使われることもあるので、覚えておくと役に立つかもしれません。

サポート=電話相談だけじゃない

 「サポート」というと、分からないことを電話で相談したり、不具合について問い合わせたりすることを想像する人がほとんどかもしれません。

 もちろん、広い意味でのサポートには、そうした対応も含まれます。ただし、今、問題になっている「サポート」は、主にWindowsの品質に関するものです。

 Windowsは、製品が出荷されてからも、改良や改善が進められます。リリース後に発見された不具合や、“脆弱性”と呼ばれるセキュリティ上の問題点が修正されたり、さらにはリリース後に開発された新機能が追加されることもあります。

 しかし、永遠にこうした改善を続けることは、開発元の大きな負担になるため、現実的ではありません。そこで、Microsoftでは、Windowsのリリースから、どれくらいの期間、ソフトウェアの改善や新機能の追加を続けるかを規定しています。

 そうしたサポートを続ける期間が、Windows 7の場合、2020年1月14日で終了するというのが、今回のポイントです。

Windows 7のサポート終了を告知するMicrosoftのウェブサイト

 なお、現在のWindows 10では、サポートモデルそのものが変更されています。Windows 7の場合、新機能の追加などがなされる「機能更新プログラム」と、不具合や脆弱性の修正がなされる「セキュリティ更新プログラム」の両方が、メインストリームサポートの期間中に提供されていました。実はこの期間は、3年以上前の2015年1月13日にすでに終了を迎えています。

 そして、約1年後の2020年1月14日に終了するのは、このうちセキュリティ更新プログラムのみが提供される「延長サポート」の期間です。

メインストリームサポート終了日延長サポート終了日
Windows Vista2012/4/102017/4/11
Windows 72015/1/132020/1/14
Windows 8.12018/1/92023/1/10

更新プログラムなくなると、ウイルスやサイバー攻撃から無防備になる

 「いや、もう新機能なんていらないし、今も問題なく使えてるから、サポートが切れても困らない」。そう思う人もいるかもしれません。

 もちろん、Windows 7のサポートが終了しても、PCそのものが使えなくなるわけではありません。継続してWindows 7は起動しますし、アプリも問題なく動作します。しかし、ここでポイントとなるのが、サポートが切れると、

「セキュリティ更新プログラム」が提供されなくなる

 という点です。

 ここで、少し、視点を変えてみましょう。仮に、あなたがPCを攻撃する犯罪者の立場だったら、どのようなPCを狙い、どうやってそこへの侵入を試みるのが効率的だと思いますか?

 セキュリティレベルの高いPCよりは、セキュリティレベルが低いPCを狙った方が効率的なことは明らかです。この「セキュリティレベルが低いPC」が、サポートが切れたOSを使っているPCということになります。

 「このバグを利用すれば管理者権限を取得できる」「この不具合を利用すればシステムをダウンさせられる」。OSに含まれた脆弱性が放置されている場合、悪意を持った攻撃者が、それを悪用しないはずはありません。

 サポートが提供されている期間内であれば、こうした脆弱性は、Windows Updateによって自動的に修正されますが、2020年1月14日以降、仮にWindows 7に脆弱性が発見されたとしても、もう修正されることはありません。

 つまり、悪意のある攻撃に対して、完全に無防備な状態になるわけです。

使えるソフトウェアや周辺機器も少なくなる

 もちろん、こうした致命的な被害が必ず発生するわけではありません。

 しかし、サポート切れのOSを使うことは、普通にPCを使う上でも、デメリットが発生します。例えば、今、Windows XP(2014年4月8日サポート終了)に対応しているソフトウェアや周辺機器がどれくらいあるでしょうか?

 探してみても、ほとんど存在しないのが現実でしょう。このように、OSのサポートが終了すると、それに対応して、ソフトウェアや周辺機器も、サポートが終了したOSでの動作を保証することがなくなります。

 こうしてPCが、次第に不便に、使いにくくなっていくのも、サポート終了のデメリットということになります。

Windows 10への移行を始めよう

 ということで、2020年1月14日にサポートが終了するWindows 7には、もうそろそろ見切りを付けた方が得策と言えます。

 Windows XPのサポート終了の際は、期限ギリギリでの移行に苦労した人が多く、サポート終了日が近づくほどにPCや移行先のOSのパッケージの在庫が少なくなるなどの状況も見られました。

 まだ余裕がある今の段階から、移行を検討するのが得策です。

 では、具体的に、何を準備して、どう移行すればいいのかについて、次回以降、詳しく見ていくことにしましょう。

移行先となる「Windows 10 Home」(左)と「Windows 10 Pro」(右)

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。