イベントレポート

見つけたミライ@Inter BEE

老眼向けのオートフォーカス眼鏡を体験! 液体レンズと視線追尾で

 「Inter BEE 2018」が11月14日~16日、幕張メッセで開催された。Inter BEE 2018は、音と映像と通信のプロフェッショナルのための展示会だが、今年は「デジタルコンテンツEXPO」と併催になり、メディア総合イベントとしての意味合いを強めている。そこで、Inter BEEおよびデジタルコンテンツEXPOの展示の中から、超スマート社会というテーマにふさわしい展示や、読者の関心が高そうな展示を紹介する。

 スタンフォード大学のコンピューテショナルイメージングラボは「視点に焦点を合わせる老眼用自動焦点メガネ」のデモを行っていた。この研究は「SIGGRAPH 2018」でも出展され、大きな話題となり、今回のデジタルコンテンツEXPOで招待されることになったという。

老眼用自動焦点メガネは、老眼を自覚している人なら実際に体験してみることができた
老眼用自動焦点メガネの実物。上部には「RealSense」があり、対象物との距離を計測する
両眼のレンズの下にある黒色の細長いパーツは、視線を検出するアイトラッカーである
裸眼視力によってメガネの基本度数を調整するためのレンズ
スタンフォード大学のコンピューテショナルイメージングラボは「視点に焦点を合わせる老眼用自動焦点メガネ」のデモを行っていた
老眼になると近くのものに焦点が合わなくなるが、人間の自然な調節機能を真似た自動焦点メガネを使うことで、近いものから遠いものまで焦点を合わせることができる

 老眼になると目の焦点の調節機能が落ち、近くの物が見えにくくなる。老眼鏡を使えば近くのものは見えるようになるが、遠くのものを見る際の視力が犠牲になってしまう。この老眼用自動焦点メガネは、液体を利用して焦点を自由に変えられるメガネに、視線を検出するアイトラッカーと、対象までの距離を計測する深度センサーを組み合わせることで、近くのものでも遠くのものでもしっかりと見えるようにするというものだ。

 利用する際には、最初に裸眼度数を計測し、視線のキャリブレーションを行う必要がある。老眼を感じるようになった筆者も実際に試してみたが、確かにメガネ無しでは見にくかった手元の小さな文字も、老眼用自動焦点メガネをかけるとよく見えるようになった。そのまま、数メートル離れた壁の文字を読もうとすると、最初はぼやけて見えるが、すぐに焦点が自動的に調整され、はっきりと見えるようになり、目が10歳くらい若返った気分になった。ちょっとしたサイボーグ的な感覚でもある。まだ装置のサイズが大きく、すぐに実用化されるわけにはいかないだろうが、今後の発展に期待したい。

老眼用自動焦点メガネをかけたところ。「攻殻機動隊」のバトーみたいになる
まず、視線を動かしてさまざまな場所に移動するマークを見つめ、視線のキャリブレーションを行う
視線のキャリブレーションが完了したところ。下にはアイトラッカーで取得した映像が表示されている
手元の小さい文字も離れた壁に貼られた文字も、見つめるだけで自動的にメガネの焦点が合って見えるようになる