イベントレポート

第1回国際ドローン展

「国際ドローン展」初開催、監視・計測への活用、ドローンを介したネットワーク構築も

 今年初開催となる「第1回国際ドローン展」が5月20日から22日まで、幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されている。主催は一般社団法人日本能率協会。ドローンメーカーやパーツを扱う企業、ドローンを用いたサービス・技術の開発を行う企業などが集結した。

 なお、同時開催されている展示会は「TECHNO-FRONTIER 2015」「IoT-Tech 2015」「データセンター設備機器展2015」「マシンビジョンテクノロジー展 2015」「オプトエレクトロニクステクノロジー展2015」「日本の匠技術 2015」。

ドローンを使った不審者探知や災害・測量調査、ローカルネットワーク構築など

構造計画研究所のブース。SDR(Software Defined Radio)のNuand製ボードを使った電波調査システム。ドローンに搭載し、カメラやGPSと組み合わせることで、位置情報と周囲の画像を確認しながら電波調査が行える
「ドローンdeリレー」は、ドローンを使用したローカルネットワーク。ドローン内にデータを一度蓄えるので、ドローンをマルチホップさせてバケツリレーのようにデータを渡すことができる
ドローンで取得したデータを活用するソリューションを提供。構造物のクラック調査などに利用する3次元位置推定・管理システムを開発。現在特許出願中とのことだ
セコムは同社の研究所で自社開発したドローンを披露。正式発表前のモデルで、セコムの事業者向け監視プランのオプションとなる。
建物に設置されたレーザーセンサーによる物体検知システムを応用し、検知位置にドローンを飛ばして不審者を自動で撮影する。センサー、ドローンともに複数台での運用が可能
ドローンはレンタルで提供予定で、ベースプランに5000円程度の追加料金で利用できるようにしたいとしている
NEXCO中日本のドローンシステム。写真はカナダAeryon製で、道路の点検や災害調査用途として運用している
レーザーレンジファインダーによる自動制御システムを搭載したドローン。GPSが機能しないトンネル内でも壁面との距離を保ちつつ観測可能
有線接続による長時間飛行を可能とした構造物調査用ドローン「SCIMUS」
道路法では5年に1度、近接目視による構造物の点検が定められているが、0.1mmのクラックが判別できる静止画が撮影可能であれば目視の代替を取ることが可能になったという。そのため、ドローンによる点検が可能になった
日立製作所、エンルート、八千代エンジニヤリング、産業技術総合研究所による災害調査システムのブース。写真はドローンを災害現場まで運搬する無人調査車両。目的地まで到着するとドローンを離陸させる
droneを用いた観測システム。有線接続するタイプのドローンでは、車両に積まれた膨大なバッテリーのおかげで長時間運用が可能となっている
土砂災害エリアでの電磁探査による地下イメージング技術。写真はGeophex社製マルチ周波数電磁探査センサー
電磁探査センサーをドローンに吊るし、地上から1m浮かせた状態で計測する
ドローンに小型センサーを複数積載し、土砂災害現場に投下することで計測する地下イメージング技術。センサーの位置が移動すると土砂が流れていることが把握できる
MIKAWAYA21によるドローン配送システム
立地的に買い物が難しいユーザーに対して、新聞配達所を経由して薬剤や食品を配送するサービス。正式運用は3~4年後を見込んでいる
ドローンによる配送システムは新聞配達所による「まごころサポート」サービスの一環
小松製作所のドローンを利用した地形計測システム。米Skycatchのドローンシステムを使用し、センサーが取得した3次元データを活用する。人間による計測と比較して、精度を上げつつ大幅な時間短縮が可能だという
小松製作所では、施工現場のスマート化を図る「スマートコンストラクション」というソリューションを提供しており、ドローンはそのサービスの一部として提供される。計測した3次元データは、施工完了予定のデータと照らし合わせることで作業量を予測することができる

国産ドローンも増殖中、マクセルのドローン用電池参入も

映像・音響システムを手掛けるシステムファイブが2015年1月に設立したPRODORONEがブースを構えていた。同社はこれまで業務用のドローンをカスタム製作していたが、今回、同社初の量産ドローンを展示
高松港から男木島までの8km間の輸送実験を行った「かもめAIR」が展示されていた。航続距離を伸ばすため、本体の軽量化に注視しているという
マルチカメラシステム、映像スイッチャー、編集機器、ネットワークシステムをバイクに詰め込んだ移動ユニット「PD-C01」を参考出展
バイクの荷台部分にマルチディスプレイ、編集機器などを搭載する
ドローンはPRODRONEとしては初めての小型モデル。有線接続で長時間飛行できる
複数のLTE回線を束ねたネットワークシステムを内蔵しており、現場に駆けつけて複数のカメラから実況を行うことも可能。LTEユニットは取り外しでき、ハンディカメラとユニットのみで実況を続けられる
自立制御システム研究所は、同社初の量産ドローン「MS-06LA」を展示していた。同社は日本国内で唯一のオートパイロット技術を有している。もともとは千葉大学の研究所からスタートしている。ドローンの製造は菊池製作所が担当する
原発内での使用を想定したドローン。自動バッテリー交換機構を備え、人の手を介さずに長時間の運用が可能。今後は自動バッテリー充電機構も搭載し、無人運用も可能になるという
ドローンの3Dシュミレーター。左手にあるPCは実際にドローンを飛ばす際に使用するシステムと同じもの。右手のコントローラーも同じだ
オートパイロット機能により、コントローラーを使用しなくとも操作可能。指で移動地点を指定し、どの方向にドローンを向けるか指定すると自動的に移動する
OculusRiftにも対応する。ちなみに、シュミレーターで使用されていた3Dの街並みは、ゼンリンが提供する「Japanese Otaku City」
カナダAeryon製ドローンのブースも設置されていた。軍事用技術を民間転用したもので、NEXCO中日本で使用されているモデルの後継モデルとなる。価格は1500万円ほど
全天候型で足を折りたたんでバックの中に収納することもできる
日立マクセルは、ドローンメーカーのenRoute向けに開発したリチウムイオンバッテリーを展示
セル自体は薄く、それを複数枚直列に繋げることでハイパワーを実現している
ドローン向け無接点給電システム
上下のコイル内にドローンを挟むことで、片方のコイルの約2倍ほどの充電効率を実現している

(山川 晶之)