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日本ユニシス、無償の個人向け資産形成支援アプリ「Fortune Pocket」提供開始
2017年10月2日 12:30
日本ユニシス株式会社は、資産形成支援専用アプリ「Fortune Pocket(フォーチュンポケット)」を活用した個人資産管理サービスを10月2日に開始する。
日本ユニシスが事業主体として提供する、日本初の個人資産管理サービスと位置付けており、福利厚生サービスの株式会社イーウェルや、フィンテック事業者のマネーツリー株式会社との業務提携により、サービス内容を拡張。サービスの普及に取り組む。
日本ユニシスフィナンシャル第一事業部統括部長の市嶋敏博氏は、「家計簿アプリは、短期的な金銭の管理をするものであるが、Fortune Pocketは中長期的な資産形成をサポートすることに特化したアプリであり、競合するものではない。使いわけてもらうものになる」とし、「資産管理を軸に、ライフイベント、ライフステージに関わるさまざまなサービス提供者とビジネスエコシステムを形成し、個人の豊かなライフプランの実現を支援するトータルサービスプラットフォームを目指す」とした。
今後5年間で300万人の会員獲得を目指す計画であり、5年後には売上高50億円を見込んでいる。
Fortune Pocketでは、個人のバランスシート作成、ライフプランシミュレーション、各種金融コンテンツ、キャンペーン情報の提供といった4つの機能を提供。「見る、分析する、学ぶ、殖やすの4つの観点からサービスを構成する」(日本ユニシスフィナンシャル第一事業部所長の上柿元亘氏)としている。PCおよびスマートフォンから手軽に利用できるのが特徴だ。
Fortune Pocketでは、金融資産に加えて、不動産、自動車、会員権などの金融資産以外の資も含めてバランスシート形式で管理。資産形成を行う在職中のみならず、定年退職後の老後生活や相続時までシームレスにサービスを利用できるという。
また、継続利用や金融商品契約などを行うと、Fortune Pocketポイントによるポイント還元も実施。Fortune Pocketポイントは、提携するサービス提供事業者が提供するポイントや汎用ポイントに交換でき、貯める楽しみやお得感も提供できるという。
具体的には、個人のバランスシート作成では、銀行口座や証券口座といった流動性が高い資産や、自動車および不動産といった固定資産、クレジット残高や住宅ローン残高などの負債を含めた全資産をバランスシートとして表示。最新価値だけでなく、過去からの推移も確認できる。加入保険や年金情報もわかりやすく可視化できるという。
ライフプランシミュレーションでは、公的年金計算や住宅ローン、贈与税や相続税の計算、金利計算などの機能を活用して、さまざまなシミュレーションを可能としており、将来のワークスタイルやライフイベント、リタイアメントなどのライフステージを考慮した最適な資産目標を提案する。
各種金融コンテンツの提供では、9種類の資産形成に関わる教育コンテンツやコラムを提供。お金に関する基礎知識や用語解説などを通じて、疑問を解消できるという。
また、キャンペーン譲歩の提供では、金融機関が実施しているキャンペーン情報などを、利用者の属性にあったかたちで提供する予定であり、内容に応じて、女性会員向けに限定で情報を配信するといったことも行う。
これらのサービスは無償で提供することになる。
また、イーウェルとの業務提携により、「WELBOX」を利用する企業や従業員に展開し、ライフプラン相談や財形貯蓄、持株会などの既存福利厚生サービスとのシナジーを共同で検討。さらに、マネーツリーとの業務提携により、それぞれの利用者に相互サービスを提供。マネーツリーの「MT LINK(エムティーリンク)」を採用し、資産情報の可視化を容易にできるという。「イーウェルを利用している1200社、380万人の会員や、マネーツリーの130万人のユーザー、400万ダウンロードの実績があるMT LINKユーザーに対してもサービスを提供していく」とした。
MT LINKは、国内2600社以上の金融機関などから各種明細データを自動的に取得できる金融インフラサービスであり、MT LINKとの連携により、Fortune Pocketの利用者は、簡単な操作で、金融機関から安全に情報を収集し、資産情報を可視化できる。
日本ユニシスは今後、サービス内容を強化していく予定であり、来年以降の第2ステージでは、資産状況評価や金融商品比較、不動産および自動車の査定サービスなどのシミュレーション機能やコンサルティング機能を提供。第3ステージとして、相続・贈与シミュレーション、相続コンサルティングの仲介、遺産分割協議書作成、エンディングノートなどの相続および引継支援サービスを強化する。月額数百円程度で利用することができるようにする計画だ。
将来的には、日本ユニシス自らが金融ライセンスを取得する考えを示しており、それにより、金融製品などとの連携を図っていくという。同社では、提携金融機関からの関連手数料収入もFortune Pocketの売り上げとして見込んでいる。また、将来的にはこのサービスをOEM提供することも視野に入れている。
なお、Fortune Pocketは、幸運と財産を貯めるポケットという点からネーミングし、カンガルーがポケットに入っているイメージのロゴを用意したという。
市嶋氏は、「フィンテックによるテクノロジーを活用した金融サービスが増加する中、この分野に、日本ユニシスの知見を活用できると考えた。日本ユニシスが持つ金融機関向けシステムでの実績や、確定拠出年金や相続といった個人資産に関わるシステムを提供してきたノウハウや経験を活用。資産形成の意識が高い顧客基盤を保有する事業者や、利便性を高める技術を保有する事業者との提携を進めていく。ここで得られたものは、逆に金融機関向けのBtoB事業にも反映できると考えている」とし、「お金の不安を解消することで、キャリア形成や余暇の有効活用など個人の生活の充実を目指す」とした。
平均賃金上昇率や終身雇用比率の低下、公的年金制度への懸念など、個人を取り巻く将来の生活やお金に関する不安要素は多くなる中、将来に向けて計画的な資産管理、資産形成を行うことが注目されている。また、個人の資産管理や形成を促す動きが活性化しており、従来の「貯蓄から投資へ」という意識から、「貯蓄から資産形成へ」へと意識が変化し始めているといた背景もある。「だが、資産形成や資産管理の重要性を感じていても、最適なサービスがなく、一歩が踏み出しにくい状況にあった。いままで資産形成に向き合えていなかった個人を対象に、今後のライフイベントや自身の資産価値を知ってもらい、個人に関わるお金の不安を少しでも和らげ、前向きに資産管理、資産形成へ向き合うきっかけを与えるのが狙い」としている。