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ドローンが残業者を監視&退社を催促、「T-FREND」来春サービス開始

大成、NTT東日本らが提供

ドローンがオフィス内を自動巡回して、残業社員を監視。画像はプロトタイプの機体

 大成株式会社、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、ブルーイノベーション株式会社の3社は、ドローンを利用したオフィス内の残業監視サービス「T-FREND」のテストサービスを2018年4月、本サービスを同年10月に提供開始する。

 ドローンが夜間のオフィスを自動巡回し、搭載されたカメラで残業社員を監視・退社を催促する。録画された映像はクラウドに上げられ、遠隔地から確認できる。ドローンのプロペラの風切り音や本体から流れる音声(プロトタイプ版では「蛍の光」を再生)で残業者に退社を促すことで、労働時間や社員の健康を管理できるとしている。GPSを使わないドローンの屋内自動飛行サービスとしては国内初の試みだそうだ。

「蛍の光」を流し、けたたましい風切り音で退社を催促。デモでは電波状況の問題か飛行経路を上手くたどれないケースが頻発した

 大成が「ドローンを使用した室内空間等の夜間定期巡回サービス」としてサービスを提供。屋内自律飛行/飛行計画システム・機体開発はブルーイノベーションが担当、ネットワーク環境の構築・調整はNTT東日本が行う。

 ドローンは、オフィス内に設置した電波発生装置との距離から自己位置推定を行うことで、手動操作やGPSに頼らない自律飛行システムを実現している。また、NTT東日本が提供する通信回線「ギガらくWi-Fi」「フレッツVPNプライオ」「クラウドゲートウェイクロスコネクト」を組み合わせることで、インターネット回線を使わない閉域網でAmazon Web Servies(AWS)に直接接続、秘匿性を保ったまま映像データを上げられるとしている。

アプリ画面。飛行経路・時間・機体選定の設定は専用のアプリであらかじめ入力する必要があるが、導入時はブルーイノベーションが初期設定を行う
映像データはインターネットを経由せず、直接クラウドに接続

 ドローン本体の大きさは約450×450×200mm(幅×奥行×高さ)、重量は約1.3kg。撮影解像度は1280×720ピクセル。障害物検知・回避機能や自動充電機能には対応していないが、将来的には実装する予定だそうだ。

「T-FREND」で提供されるドローン。本体に内蔵されたSDカードに映像を記録し、クラウド上に映像を上げる

警備会社の就労人口減少により求められるドローンのビジネス活用

 「働き方改革」が叫ばれる中、社内の情報セキュリティの強化を目的とした、夜間のオフィス警備のニーズとともに残業者への退社催促の要望が増加しているという。しかし、労働集約型の警備会社は就労人口の減少により、人員を確保しにくいのが現状だそうだ。また、常設式の防犯カメラは「仕事中も常に監視されている不安がある」といった声が女性から多く寄せられるため、必要時のみ監視できるカメラ搭載型のドローンを活用するに至った。

 大成とブルーイノベーションは、ドローンによるオフィス内の監視カメラなどの映像を主軸としたシステムの開発を2016年4月から開始。来春の試行サービスの提供にあたり、NTT東日本が加わることでドローン運用管理に必要な環境を包括して提供できるようになった。

 大成株式会社専務取締役の加藤憲博氏は、「警備業界もIoTなどロボットに切り替わる時代」と述べ、働き方改革に貢献するサービスとしてT-FRENDを普及させたいと展望を語った。

(左から)ブルーイノベーション株式会社代表取締役社長の熊田貴之氏、大成株式会社専務取締役の加藤憲博氏、東日本電信電話株式会社千葉事業部コラボレーション推進部長の大村健太郎氏