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既存の電話回線で最大1Gbpsのモデムシステム、NECが「G.fast」対応のVDSL装置を発売

 NECマグナスコミュニケーションズ株式会社は13日、「G.fast(G.9701)」規格に対応した集合住宅向けVDSL装置「VC1602G」「VF500G」の販売を開始した。電話回線用の既設メタルケーブル(2W)を利用して、上り/下り合計で最大1Gbpsの通信が可能になる。7月中旬より出荷を開始する予定。

 現在、「フレッツ 光ネクスト」などの光ファイバー回線サービスが提供されている建物でも、各戸まで光ファイバーが敷設されていない古い集合住宅などでは、建物のMDF(主配線盤)から各戸までは、電話回線用の既存メタルケーブルを使って通信するVDSL(Very high speed Digital Subscriber Line)方式でつないでいるのが一般的だ。

 新製品のVC1602G/VF500Gでは、VDSLよりも高速なG.fast規格により、最大1Gbps(下り最大800Mbps/上り最大200Mbps、下り最大500Mbps/上り最大500Mbps)での接続が可能。建設済み集合住宅などで光ファイバーの敷設が困難なケースでも、既設メタルケーブルを利用してFTTHと同等の高速通信サービスを提供可能になるとしている。

 VC1602Gは、MDFに設置する親機で、1台で16戸のG.fast/電話回線を収容可能。WAN側インターフェースは、10GBASE-T/1000BASE-T/100BASE-T対応のRJ-45ポートのほか、SFP+スロットも備えている。

 F500Gは、各戸に設置する宅内装置(子機)。宅内側のインターフェースは、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応のRJ-45ポート×2、電話用のRJ-11モジュラージャック×1。

親機の「VC1602G」。レイヤー2スイッチ機能を備えており、各戸の回線間でのセキュリティを確保可能。QoS機能も備える。また、Web/SNMP/Telnetベースのローカル/リモート監視制御が可能だ。大きさは、約430×290×44mm(幅×奥行×高さ)、重さは4.2kg以下
宅内装置(子機)の「F500G」は、大きさが約29×108×159mm(幅×奥行×高さ)、重さが350g以下(本体のみ)。電源はACアダプター

 なお、VC1602G/F500Gは、「VDSL2(G.993.2)」規格にも対応しており、VDSL装置の既存製品(VC1622F2-S/VC803F2-S/VF200F7-S/VF200F8)とも相互接続が可能。それらと組み合わせた場合の最大速度は、下り100Mbps/上り50Mbpsとなる。既存装置からの段階的なマイグレーションにも対応でき、将来的な高速速サービスへの移行が可能になるとしている。

 希望小売価格は、VC1602Gが45万円、VF500Gが3万5000円。NECマグナスでは、既存VDSL装置のリプレースや集合住宅へのVDSL装置の新規導入、ホテルや病院、学校などへの販売を予定しており、今後3年間で1万台の出荷を目指す。