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危機感はあるが行動に移せていない――情報漏えいが不安でも対策できていない日本の消費者

ノートンライフロックが調査結果を発表

株式会社ノートンライフロックの古谷尋氏(マーケティング部部長)。なお、取材は昨今の状況を踏まえて電話会議ツール「Zoom」で実施された

 株式会社ノートンライフロックは31日、「ノートンライフロックサイバーセーフティインサイトレポート2019」を公開した。個人情報漏えいに対する意識と行動について、日本(1002人)を含む10カ国1万63人の消費者を対象に、調査会社であるThe Harris Pollがオンライン調査を実施したもの。調査期間は2019年11月5日~12月2日。

 同レポートによると、日本の回答者の23%が2019年にサイバー犯罪の被害を経験していることが分かった。この結果から過去1年間の被害者数は2460万人と推計しており、前回調査(2018年)の1960万人から約25%増加した。

 具体的な被害については、デバイスやネットワーク上での悪意のあるソフトウェア検知(13%)、メールアカウントへの不正アクセス(11%)、データ漏えいによる個人情報流出の3つが上位に挙がっている。

サイバー犯罪の被害経験者国別割合

 個人情報盗難に関する被害者数については、日本国内は500万人と推計しており、前回調査の240万人から約2倍に増加した。この急増の原因については特定できていないが、「サイバー攻撃は激しさを増している」として、ノートンライフロックの古谷尋氏(マーケティング部部長)は注意を促す。

 「個人情報の盗難から十分に保護されている」との回答は22%程度で10カ国中で最も低く、世界平均(47%)と比較しても大きな差が出ている。そのため、日本国内の回答者は「個人情報が盗まれているのではないかと心配している」との回答が75%、「個人情報が盗まれた場合の対処方法について詳しい情報を知りたい」が81%に上るなど、個人情報盗難への危機感は高いものの、保護するための知識を持ち合わせていない現状が浮き彫りになるかたちとなった。

「個人情報の盗難から十分に保護されている」という回答は日本では22%で10カ国中最も低い結果となった

個人情報の管理・保護について最も責任があるのは「政府」との回答が最多

 インターネット上での個人情報保護に不安を感じる一方で、企業が提供するサービスが便利になるなら「ある程度のオンラインプライバシーのリスクは受け入れる」といった回答は半数以上あった。しかし、「消費者は企業による個人情報の収集・使用を全くコントロールできていない」との回答も7割に上った。それでも、個人情報を保護するために「良い方法を積極的に探している」との回答が48%、「多くの人が個人情報を守るために最善を尽くしている」が35%といずれも10カ国中で最も低い結果となった。

日本では個人情報を保護するために「良い方法を積極的に探している」との回答が48%で10カ国中最下位に

 なお、個人情報の管理や保護について最も責任があるのは政府(53%)との回答が多く、オランダと並んで世界で最も高い結果となった。以下、企業(33%)、個人(14%)と続く。政府が果たす役割に強い期待を持っているものの、「政府は十分に対応している」との回答は29%(世界平均44%)に留まり、10カ国中最も低い結果となった。企業についても37%(世界平均43%)と低い傾向が出た。

個人情報の管理や保護について最も責任があるのは政府(53%)との回答が最多に

 今回の調査から日本の消費者は個人情報漏えいの危険性に対する意識の高まりはあるものの、自身の知識だけで講じる対策に不安を抱えているといった特徴が見られた。古谷氏は「セキュリティ向上とプライバシー保護のために企業、政府がそれぞれ役割を果たすことが重要だ」と指摘する。

 サイバー犯罪から個人情報を保護する方法としてノートンライフロックでは、1)不審なメールを開かないこと、2)通信内容を傍受されないようフリーWi-Fiを利用するときはVPNを利用すること、3)パスワードを使い回さず、2段階認証や多要素認証を活用すること、4)セキュリティソフトを使用することを挙げている。