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マイクロソフト、Teamsの新機能「発表者モード」などを解説、「Teamsの呼び方は“チームズ”」

発表者モードの表示例

 日本マイクロソフトは、2021年4月22日、23日の2日間、オンラインイベント「Microsoft 365 Day & Happy Birthday Teams!」を開催。

 開催2日目に行われた「Microsoft Teamsイチオシの機能とこれから出てくる新機能」では、Teamsで提供されているMeeting Recap機能において、会議中の字幕表示や、会議内容の文字起こしなどの日本語対応が今年夏に行われる予定であることを初めて明らかにした。

 また、セッションのなかでは、Teamsの発音およびカタカナ表記が「チームス」ではなく、「チームズ」であることが改めて強調された。

4周年を迎える「Teams」の新機能や活用事例を紹介

 Microsoft 365 Day & Happy Birthday Teams! は、「最新のMicrosoft 365とMicrosoft Teamsを知り尽くす2日間」と題して開催。初日を「Microsoft 365 Day」として、Microsoft 365およびOffice ユーザー、情報システム管理者などを対象に、Microsoft 365 を活用した日本の新たな働き方に関する情報を、富士通やパナソニックの事例などを交えて紹介した。

 2日目の「Happy Birthday Teams!」では、Microsoft 365 TeamsユーザーやTeams に興味のあるユーザーなどを対象に、2017年3月の発売から4周年を迎えたTeamsに関する役立つ機能や、Teams対応アプリの活用、HoloLens 2とMicrosoft Teamsを活用したバーチャル会社案内の事例などが紹介された。

 日本マイクロソフトでは、現在、国内におけるMicrosoft Teamsの利用者数は1億1500万人に達し、日経225の94%の企業が利用していることも明らかにしている。

Teamsの1年を振り返る

 「Happy Birthday Teams!」の最初のセッションとして行われた「Microsoft Teams イチオシの機能とこれから出てくる新機能」では、日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部プロダクトマーケティングマネージャーの春日井良隆氏と、米本社でMicrosoft Teamsの開発に携わるTeams Engineering Program Managerの米田郁子氏が登場した。

日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部プロダクトマーケティングマネージャーの春日井良隆氏
米マイクロソフト Microsoft Corporation Teams Engineering Program Manager,の米田郁子氏

 最初に、Teamsのこの1年の進化を振り返り、日本マイクロソフトの春日井氏は、「Teamsにバーチャル背景が追加されたのはわずか1年前。当時は、挙手機能も追加されたばかりだった。挙手機能は、ライブリアクションへと進化しており、オンライン会議での反応が参加者のアイコンで理解できるようになった。また、テレビ会議の参加者表示が2×2の4人表示であったものが、7×7の49人の同時表示が可能になったり、Togetherモードによって、離れた場所にいても参加者全員が同じ空間にいるかのような表示ができるようになったりした。Togetherモードで会議をすると、脳の疲れが少なくなるという調査結果も出ている」と述べた。

49人の同時表示
Togetherモード

 また、Teamsではアクセシビリティに配慮していることを紹介。ハイコントラストモードによって、色弱の人でも表示されたスライドが読みやすいようにできるという。「会議中のスライドをハイコントラストで表示できるだけでなく、チャットの表示などでも利用できる」(米田氏)という。ダイバーシティへの取り組みのひとつとして、近々、チャットなどに利用する人や手のアイコンにも、好みのスキンカラーを設定できるようにするという。

ハイコントラスト
ダイバーシティへの取り組み

まもなく搭載!会議資料と発表者が重なる「発表者モード」

 まもなく搭載される機能のひとつとして紹介したのが、発表者モードである。

 発表者モードでは、プレゼンテーションの運用レベルを高めるために、参加者の画面に表示する資料やビデオなどのコンテンツをカスタマイズできる。スタンドアウトを設定すると、共有コンテンツの前に発表者のビデオを表示。横並びの設定では、コンテンツを発表者の横に表示。レポーターの設定では、ニュース番組のように、発表者の肩の上にコンテンツを表示する。

【発表者モード】
発表する側の画面
発表を見る側の画面

 PowerPoint Live機能では、発表者が、手元でメモや次のスライド、会議チャットなどを表示するといったPowerPointで提供されている機能を、Teams上でも提供するもので、画面共有のなかから「PowerPoint Live」を設定するだけで利用できる。

【PowerPoint Live機能】

ブレークアウトルームはさらに進化、事前設定やタイマー設定も

 2020年12月から提供されているブレークアウトルームは、参加者を少人数のグループに分けて、それぞれに議論することができる機能だ。発表者は、ブレークアウトルーム間を移動したり、すべてのブレークアウトルームにアナウンスできたりするほか、ブレークアウトルームを閉じて、参加者全員をメインの会議に呼び戻したりできる。

 「ブレークアウトルームは今後も進化する予定であり、1時間経ったら、メイン会場に戻るタイマー設定、事前に部屋を作成して、そこに参加者を割り振てる機能などが予定されている」(米田氏)という。

会議の録画やファイル、メモを集約、文字起こしも日本語対応に

 注目されているMeeting Recap機能は、録画した会議の映像、共有ファイルやメモなどを1カ所に集約。会議の記録をテキスト化して議事録としてまとめていくことができるものだ。このなかで提供される会議の文字起こしや、発言者のスクリプト表示は、これまで英語だけの対応だったが、今後は、様々な言語に対応する計画が示されている。

 米田氏は、「今年夏には、音声をテキストに変換するトランスクリプト機能を、日本語でも対応する」と述べた。

通話機能も改良、強力ノイズキャンセリングで「近所の工事」にも対応

 一方、通話機能については、通話インターフェースをまもなく改良し、履歴や連絡先などの通話に関する情報を集約し、表示する仕組みに変更。ボイスメール機能では、日本語での文字の書き起こしを提供し、ボイスメールに録音された音声をテキストで表示することで、音声を聞かなくても、内容を短時間に確認できるようになるという。

 また、ノイズキャンセリング機能では、ポテトチップスの袋をガサガサさせても、会議中の音声にはまったく影響がないことをデモストレーションしてみせた。

 春日井氏は、「ノイズキャンセリングが効果的なシーンは、近所で工事をしていたり、緊急車両が頻繁に通る場所など。忙しくて食事をする時間がなかった場合にも、食事をしながらのオンライン会議に参加できる。また、お勧めはしないが、会議中に、内職をしてキーボードを叩いていても、その音が聞こえずに、内職していることがさとられない。すべて私が実験済みである」と語った。

 ノイズキャンセリング機能は、デフォルトでは「自動」となっているが、これを「高」に設定すると、ノイズキャンセリングの効果が強く発揮できる。

 米田氏は、「カフェなどで会議をする場合でも、コップの音をはじめとして、たバックグランドの音については、ノイズキャンセリングの効果が発揮できる」とする一方、春日井氏は、「人の声ではない周波数を消してくれる技術であるため、子供の声や、犬の鳴き声などは、まだ改善する余地がある」と指摘した。

 さらに、Teamsを電話として使う場合の機能についても説明した。

 Teamsのユーザー同士の内線通話は無料で使えるとする一方で、電話システムの追加か、Microsoft 365 E5の契約によって、公衆交換電話網(PSTN)やIP電話網に接続して、通話ができることを紹介。「Teams ユーザーに対して、03や050から始まる電話番号が割り当てられ、インターネット経由で外線電話ができるようになる。自宅でも、会社でも、外出的でも、沖縄でワーケーションをしていても、すべての場所で電話を取ることができる。電話コストの削減にも利用できる」(春日井氏)と、この機能の利用を推奨した。

Teamで便利な「アプリ利用」、「出張承認」などをできる「承認」アプリを紹介

 また、Teamsにおけるアプリ利用についても説明。「Teamsは、コラボレーションプラットフォームという方向性があり、マイクロソフトの製品だけではなく、サードパーティーの製品やサービスもつなぐことができる」(春日井氏)として、いくつかのアプリを紹介した。

 マイクロソフトからTeams向けに提供されるアプリとして、2021年初めにリリースされたのが「承認」アプリだ。チャットでの利用などにおいて、出張の承認や購入の承認といった用途で活用できるという。また、TeamsがMicrosoft 365のハブとして利用できるように設計されている環境を生かして、Word、Excel、PowerPoint、Planner、Projectなどと連携。Teamsのなかで、利用や管理ができるようになることも紹介した。米田氏は、「テンプレートアプリも用意しており、それも活用してほしい」と語った。

 YouTubeとの連携についても触れ、「一般的には、YouTubeのサイトに行って、任意のビデオを探して、URLをコピーして、Teamsのチャットに貼り付けるという作業になるが、TeamsにYouTubeアプリを組み込めば、チャットからYouTubeを呼び出して、検索して、任意のビデオを呼び出せる」という。

 そのほか、Teams向けにAdobe Acrobatアプリが提供されており、PDFにコメントしたり、注釈を入れたりといったことがTeams上から行える。

 そして、ここ数カ月、マイクロソフトが力を入れているのが、Power Platformとの連携だという。たとえば、Power Automateによって、テンプレートを活用しながら、定型業務の自動化処理をTeamsに組み込んだり、Power Appsにより、ローコード/ノーコード開発を行い、Teams上で利用したりといったことが可能になる。日本マイクロソフトのMicrosoft 365マーケティングチームでは、予算管理アプリをPower Appsで開発し、Teams上で活用しているという。

Power Automateとの連携
Power Appsでの開発

セキュリティもアピール、「会議を安心、安全に」

 セキュリティについても説明した。米田氏は、「会議を安心、安全に使ってもらうことに非常に力を入れている」と前置きし、「ロビー機能の強化では、会議の開催者が招待した参加者だけが参加できるように、会議への直接参加を許可する機能のほか、新たな機能として、必要な人が会議に入ったら、それ以外の人が入れなくなるようにロックするといった使い方も可能になる予定」とした。

また、顧客キーのサポートや、データ損失防止 (DLP) への対応を行うほか、エンドツーエンド暗号化 (E2EE) のオプションでは、現時点では、1対1のアドホックなVoIP通話を対象にしているが、今後は、オンライン会議にも対応範囲を拡大する予定だという。

検索機能もこの1年で強化、スマホ対応も強化中

 さらに、検索機能をこの1年で強化していることも示した。

 「Teamsに様々な情報が集まってくるようになり、それに伴い、検索に対する要望が高まっている。今後、リリースする検索画面では、仕事の内容や、よくつながっている人といったように、利用者にとって関連性が高い検索結果が上の方に表示されるようになり、有益な情報を、すばやく得られるようになる」(米田氏)という。検索機能はさらに強化をしていくことになるとしている。

 また、従業員やチームの実力を引き出すサービスとして提供されるMicrosoft VivaもTeamsと連携させることで、インサイトの機能を活用。同僚に対する評価を習慣づけしたり、仕事が続いている利用者に深呼吸を促したり、会議続きの間に考えを整理する時間を作ったり、仮想通勤時間を設定して、オンとオフを切り替える時間を作ったりといった提案を行い、生産性とウェルビーイングを高めることができるようになるという。

 そのほか、iOSとAndroidにおける会議レイアウトの最適化にも取り組んでおり、iOSでは先行して、コンテンツや発言者、出席者をすべてひとつの画面で表示。表示できる最大人数はスマホでは20 人、タブレットでは30人となっており、Androidでも同様の対応を図るという。また、iPadでは、ライブイベントにおいて、視聴だけでなく、発表用デバイスとしても利用が可能になるという。

 参加者からは、Teamsで利用するチーム数が増えてしまい、探すのが大変であり、その解決策を知りたいという質問があり、これに対して、春日井氏が回答。「チームは、自分が参加しているチーム、よく連絡を取るピン留めしているチームと、非表示のチームに分類し、管理できる。また、最も利用するチームを最上位に表示し、まれにしかいないチームを下に表示する。時間がある時には非表示のチームを確認して、見ない可能性が高いものや、活発ではないものは、自ら脱退する。脱退しても必要になれば招待してもらえばいい」などとした。