IPA上半期のウイルス届出件数9282件、3年前比で6割減


 情報処理推進機構(IPA)は3日、2009年上半期におけるウイルス・不正アクセスの届出状況をとりまとめた。ウイルスの届出件数は9282件で、2006年上半期(2万3828件)と比べると約4割の水準まで減少した。IPAでは「広くインターネット利用者をターゲットとした、大量メール配信型のウイルスが蔓延したという事象はほとんど発生していないため」と分析している。

 過去1年間のウイルス検出数も、減少傾向が見られたという。これは、最も多くの報告が寄せられている「W32/Netsky」の検出数が減少したため。しかし、2008年10月、11月にはUSBメモリ経由で感染拡大する「W32/Autorun」、2009年4月には同様の機能を持つ亜種も出現した「W32/Downad」の検出数が急増。IPAは「いつもと異なる感染経路を持つウイルスが急速に拡大する危険性がある」として、ウイルス対策の継続を呼びかけている。

 2009年上半期における不正アクセスの届出件数は合計63件で、2008年上半期と比べると30件減少した。不正アクセスにより被害に遭った件数は44件で、同じく27件減少した。実際に被害があった届出のうち、原因の内訳は「ID・パスワード管理不備」が7件、「古いバージョン使用・パッチ未導入」が9件、「設定不備」が2件などだった。

 IPAではこのほか、2009年6月におけるウイルス・不正アクセスの届出状況も公表した。ウイルスの届出件数は1460件で、5月の1387件から5.3%増加。不正アクセスの届出件数は7件で、うち被害に遭ったのは6件。被害届出の内訳では、「なりすまし」が3件だったほか、「侵入」「DoS攻撃」「不正プログラム埋め込み」がそれぞれ1件確認された。

 また、6月におけるウイルス・不正アクセス関連相談件数は1898件だった。このうち、「ワンクリック不正請求」に関する相談は、5月の628件からさらに増えて694件に上り、過去最悪の記録を更新したという。そのほかは、「セキュリティ対策ソフトの押し売り」好意に関する相談が6件、Winnyに関連する相談が13件寄せられた。


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(増田 覚)

2009/7/3 18:36