MIAUの“ネットの教科書”にマイクロソフトが助成金


マイクロソフト業務執行役員政策企画本部長のジム・J・フォスター氏(左)と、MIAU代表理事の津田大介氏(右)
MIAUによるインターネットリテラシー読本「“ネット”と上手く付き合うために」

 マイクロソフトは13日、「マイクロソフトNPO協働プログラム2009」の助成金授与式を同社本社ビル内で開催した。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)など5団体が採択された。

 このプログラムは、ITを活用して社会貢献活動を行う非営利団体のプロジェクトを支援するため、2003年に「マイクロソフトNPO支援プログラム」としてスタート。マイクロソフトと財団法人日本国際交流センターが共同で運営しており、7回めとなる今回から名称を「協働」に変更した。資金面での支援のほか、同社製品の提供や、人材リソース面での協力も想定している。

 今回は「インターネットの安心、安全な利用を推進する活動」「ITの新たな可能性を拡げる活動」というテーマで、1月5日から2月18日までプロジェクトを募集。104件の募集の中から、審査を経て5団体が選ばれた。助成金は1プロジェクトあたり上限300万円、助成期間は2009年7月1日から2010年6月30日までとなっている。

 MIAUは「青少年の情報リテラシーを育む教材作成事業」が採択された。MIAUではかねてより、青少年向けのインターネットリテラシー読本「“ネット”と上手く付き合うために」を作成し、PDFファイルで公開している。クリエイティブコモンズライセンス(表示・継承)で配布しているため、原著作者としてMIAUの名前を表示する限り、無償で複製・配布したり、これをもとに新たな教材を作成することが可能だ。

 授与式に出席したMIAU代表理事の津田大介氏は、この“ネットの教科書”作成のきっかけとして、2008年に議論となった“青少年ネット規制法”に反対を表明した当時を振り返る。「青少年をインターネットの脅威から守るには、規制するよりも、ネットとはどういうものか、リテラシー教育をすることが重要ではないか」と考えるようになり、いわばインターネットの先進ユーザーであるMIAUのメンバーらが自ら教科書を作ることにしたのだという。

 完成したパートからPDFファイルとしてインターネットで公開していくスタンスで、ボランティアで作成をスタート。現在、予定している全6章のうち、「ネットは匿名ではありません」「メールから少し離れてみよう」という2章を公開済みだ。津田氏は、今回の助成金プログラムで採択されたことにより、「資金のめど立った。夏から作業を開始し、この1年で完成度の高い教科書を作っていければ」とコメントした。

 さらに教科書の作成と並行して、実際に学校の授業やホームルームなどで活用できるようPowerPoint化も行い、同教科書を使った授業のフレームワークも提案していく。このフレームワークを活用した模擬授業や勉強会を各地で実施する「MIAUキャラバン」も展開する予定だ。

 「マイクロソフトNPO協働プログラム2009」で採択されたのはこのほか、特定非営利活動法人CANVASの「インターネットの安心・安全な利用を推進するプラットフォームづくり」、環境文化NGO・ナマケモノ倶楽部の「アンペアダウン~ITと家族で取り組むCO2削減プロジェクト~」、特定非営利活動法人キャンサーネットジャパンの「がん医療情報ポータルサイト『がん情報.net』の構築」、特定非営利活動法人みんなのICTの「ICTを活用した発達障碍児日常生活ツール開発プロジェクト」。


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(永沢 茂)

2009/7/14 11:00