IEEE 802.11n仕様の最終決定は9月。ドラフト製品は正式版扱いに


Wi-Fi Allianceのケリー・ディヴィス・フェルナー氏

 Wi-Fi Allianceは23日、無線LAN規格「IEEE 802.11n」における今後の展開に関する説明会を開催した。

 IEEE 802.11nに関しては、2007年6月に「IEEE 802.11n ドラフト2.0」の相互接続認定プログラムを開始。Wi-Fi Allianceによれば、2009年7月23日時点で649製品が認定を取得済みで、2009年に出荷される無線LANチップセットの45%がIEEE 802.11nに対応するとした。また、2012年には全体の60%にまで比率が伸びると見込んでいる。

 IEEE 802.11nの動向について、Wi-Fi Alliance マーケティング ディレクターのケリー・ディヴィス・フェルナー(Kelly Davis-Felner)氏は、「IEEE(米国電気・電子学会)が9月に開催予定の会合で、IEEE 802.11nの仕様が最終決定される見込みだ」と説明。その上で、「基本機能に変更はなく、ドラフト 2.0認定を受けた製品は、正式版認定製品として扱う」と述べた。このため、すべてのドラフト 2.0認定製品は、IEEE 802.11n認定ロゴを使用できる。

 認定プログラムに関しては、IEEE 802.11nの最終仕様に追加される一部オプションをテスト項目に9月下旬から追加する。追加されるのは、データ伝送効率を向上させる「パケット アグリゲーション(A-MPDU)」や、一定環境でパフォーマンスを高めるためのマルチアンテナ伝送手法「Space-time Block Coding(STBC)などで、詳細なテスト情報は追って告知される。

IEEE 802.11nの動向認定プログラムにオプションテストを一部追加するドラフト2.0認定製品は650を超えるという

 フェルナー氏は合わせて、無線LAN設定システム「Wi-Fi Protected Setup(WPS)」に関して、2010年をめどに、無線LANアクセスポイントを介さずに無線LAN機器同士が直接通信する「アドホックモード」をWPSの対象に加えることを明らかにした。

 また、IEEE 802.11nおよびIEEE 802.11a/gを対象にした新たな認定プログラム「Wi-Fi device-to-device connectivity」を、2010年に開始すると紹介した。同プログラムでは、無線LANネットワークやインターネット環境がない場合でも、複数の無線LAN機器間の接続をサポートするもの。

 接続した機器同士ではアプリケーションの利用も可能で、例えば、カメラとプリンタを組み合わせた写真の印刷、携帯電話からテレビへの写真表示などの利用シーンを想定する。この際、1台の機器が無線LANアクセスポイント、それ以外の機器がクライアントとして動作するという。

 このほか説明会では、無線LAN対応の携帯機器が2009年に約1億200万台に達する調査会社の指標が示され、フェルナー氏は「Wi-Fi Allianceにとって、携帯機器の無線LAN対応は成長著しい分野の1つである」と述べた。

WPSではアドホックモードも対象に加える新たな認定プログラムも2010年に開始予定無線LAN対応の携帯機器は急速に成長しているという


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(村松 健至)

2009/7/23 20:16