JASRACへの排除措置命令、保証金1億円で東京高裁が執行免除決定


JASRAC

 日本音楽著作権協会(JASRAC)が2月27日付で公正取引委員会から受けていた排除措置命令の執行が当面免除されることが決定した。これによりテレビ局やラジオ局などの放送事業者は、排除措置命令が確定するまで、従来の手続きでJASRACが管理する楽曲を使えるようになった。

 公正取引委員会は、JASRACが放送事業者との間で締結している、楽曲利用許諾に関する契約の内容が独占禁止法違反にあたるとして、排除措置命令を出していた。これに対してJASRACは、命令の取り消しを求める審判手続きを請求。現在は公正取引委員会で、命令の妥当性をめぐる審判が行われている。

 審判請求に先立ちJASRACは、排除措置命令の内容がJASRAC単独での履行が困難であり、放送事業者や、JASRACに楽曲の著作権管理を委託する権利者にまで損害が生じるおそれがあるとして、東京高等裁判所に執行免除を申請。東京高裁は7月9日にJASRACの申し立てを認め、保証金1億円を供託すれば執行を免除するとの決定を下していた。

 この決定を受けたJASRACは8月6日、保証金を供託。その結果、排除措置命令が確定するまで(同命令の取り消しを求める審判手続きおよびその後の裁判手続きの間)、執行が免除されることとなった。これにより、JASRACと利用許諾契約を締結する放送事業者は、従来の手続きでJASRACが管理する楽曲を利用できることとなった。

 なお、JASRACは5日に理事会を開き、保証金供託の是非を議論。その結果、「命令の執行の免除を受け、現行の合理的な許諾・徴収方法を維持し、正しい判断を求めることが、大局的にみて権利者のみならず利用者の利益にもかなうとの結論に至った」としており、全会一致で保証金の供託が決定したという。


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(増田 覚)

2009/8/6 17:40