「ノートン2010」発売、レピュテーション強化でネット犯罪に対抗


昨年に引き続きノートンのイメージキャラクターを務める中川翔子さん

 シマンテックは17日、セキュリティソフト「ノートン インターネット セキュリティ 2010」とウイルス対策ソフト「ノートン アンチウイルス 2010」を発売した。対応OSはWindows 7/Vista/XP。

 ダウンロード版の価格およびパッケージ版の推定実売価格はともに、「ノートン インターネット セキュリティ 2010」が6480円、「ノートン アンチウイルス 2010」が4980円。ライセンス有効期間は1年間で、3台のPCまで利用できる。

 新たな販売体系として、ネットブックでの利用を想定した「ノートン インターネット セキュリティ 2010 ネットブックエディション」のダウンロード版も発売した。価格は6480円。さらに10月2日にUSBメモリ版も発売する。推定実売価格は6480円。

 また、「ノートン インターネット セキュリティ 2010」と同じ推定実売価格で、PC1台用の製品を2本パックにした「ノートン インターネット セキュリティ 2010 2コニコパック」もパッケージ版のみ販売する。

約3500万ユーザーからファイルの属性情報を収集

 「ノートン2010」製品では、レピュテーション(評価)技術を活用した新たなセキュリティモデル「Quorum」(コード名)を導入し、新種の脅威への検出能力を高めたことが特徴だ。Quorumではファイルの作成日時、ダウンロード元、デジタル署名、普及度など数十項目の属性情報を集計。これらの情報を独自のアルゴリズムで分析した上で、ファイルの評価を決定する。ファイルの属性が1つでも変化すると、評価も更新されるという。

 ファイルのレピュテーションに当たっては、PC内のファイル情報を匿名で送信することに同意した約3500万人のユーザー(日本は600万人弱)で構成される「ノートン コミュニティウォッチ」の情報を活用。具体的には、そのファイルがインストールされているPCの台数や、最初にファイルが登場した時期などの情報を収集・分析し、ファイルのレピュテーションスコアを自動的に計算する。スコアが「悪い」とされたファイルは検出される仕組み。

 Quorumを用いた新機能としては、ダウンロードしたファイルの信頼性を評価する「ノートン ダウンロードインサイト」や、数十億回のスキャンに基づくファイル属性の統計を使用して、ファイルの信頼性を特定する「ノートン インサイトネットワーク」を備える。また、PCを最適化するための情報を提供する「ノートン システムインサイト」、検出された脅威の詳細情報を提供する「ノートン スレットインサイト」などの機能も搭載した。


「ノートン インターネット セキュリティ 2010」のメイン画面「ノートン ダウンロードインサイト」が怪しいファイルを検出した画面

 ファイルの怪しい振る舞い(ビヘイビア)を検出する「SONAR」についても、改良した「SONAR2」を搭載。SONAR2では、Quorumのレピュテーション情報だけでなく、ファイアウォールや侵入防止システム(IPS)などの情報を活用し、どのタイミングで脅威として検出するかを判断する。

 そのほか、「ノートン インターネット セキュリティ 2010」のみの機能としては、GoogleやYahoo!、Live.comなどの検索結果画面上で、リンク先ページの安全性を評価する「ノートン セーフウェブ」を搭載。また、企業向け製品にも使われているスパム対策エンジンを導入している。

PCを保護するだけでなく、ネット犯罪者の抜け道をなくす

 パフォーマンス面については、昨年発売した「ノートン 2009」製品に引き続き、“軽さ”と“速さ”を強化したという。シマンテックでは第三者評価機関であるPassMark Softwareに依頼して「ノートン インターネット セキュリティ 2010」のベンチマークを測定したところ、アイドル時のメモリ使用量、スキャン時間、Web表示時間などで、他社製品を上回る結果を残したとしている。


「ノートン インターネット セキュリティ 2010」のパフォーマンス画面米Symantecコンシューマ製品部門シニアバイスプレジデントのローワン・トロロープ氏

 米Symantecコンシューマ製品部門シニアバイスプレジデントのローワン・トロロープ氏はQuorumについて「PCを守るだけではなく、犯罪者の抜け道をなくすものだ」と自信を見せる。

 「ネット犯罪者は、驚くべき速さでユニークなマルウェアを次々と作り出しているが、Quorumでは従来のシグネチャ(ウイルス定義ファイル)やビヘイビアベースによる検出をはるかにしのぐ。他社も『クラウドセキュリティ』をうたっているが、シグネチャをクラウド上に展開するだけでは、PCの負担を軽減するだけにとどまる。そもそもシグネチャは、広く蔓延したマルウェアを検知するために設定されたものだ。これに対してQuorumでは5億件以上のファイルを分析しており、ほんの一握りのユーザーを狙ったマルウェアについても特定可能。競合他社にはないアプローチを取っているという自負がある。」

 17日に行われた記者発表会では、ノートンのイメージキャラクターを務める“しょこたん”こと、中川翔子さんも登場。同日から放映開始するテレビCMなどのキャンペーンで用いるキャッチフレーズ「No ストレス No ウイルス Norton」にちなんで、「ノーストレス、ノーウイルスでこれからも頼りまくっていきたい」などとノートンをPRした。

 また、ノートンのキャンペーンの一環として、アメーバ・ブログ(アメブロ)で展開する「しょこたんブログ」において、セキュリティ啓発キャンペーン「ノートン警察」を開始した。しょこたんのID(ギザ)を盗むとの犯行予告に対して、ブロガーが中心となったコミュニティがアメブロ内にある犯人の情報を集め、犯人を見つけ出すというものだ。しょこたんは「ワクワクテカテカしている」と期待していた。



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(増田 覚)

2009/9/17 16:16