「Thunderbird 3」は11月中旬公開、全文検索の高速化などを実現


Mozilla Japanの吉野公平氏

 Mozilla Japanは29日、次期メールソフト「Thunderbird 3」に関する説明会を開催した。Thunderbird 3は、新たなデータベースエンジンの搭載により検索の高速化などを実現。現時点ではベータ版(Beta 4)だが、11月上旬にはリリース候補版(RC版)を公開し、11月中旬に正式版を公開する予定としている。

 Mozilla Japanマーケティング部の吉野公平氏は、Thunderbird 3では新開発の検索エンジン「Gloda」を搭載したことで、全文検索の高速化を実現したと説明。Mozilla Japanが行ったテストでは、約7万7000件のメッセージからの全文検索において、Thunderbird 2では5分17秒かかっていたが、Thunderbird 3では10秒に短縮されたという。

 また、これまではメールアドレスやタイトルの検索と、全文検索は別メニューとなっていたが、Thunderbird 3ではメイン画面の検索ボックスに一元化。検索結果も、送受信者やタグ、フォルダなどによる絞り込みのほか、月ごとに該当するメッセージが何通あるかをグラフで示すタイムラインツールを搭載し、目的のメッセージを素早く発見できるようになったとした。

新開発の検索エンジンの搭載により、全文検索を大幅に高速化検索結果の絞り込みのためのツールも充実させた

 操作面では、Webブラウザと同様にタブ表示のインターフェイスを採用し、複数メッセージの同時参照が容易になった。また、ツールバーのボタンを最小限に抑えるとともに、メッセージを操作するボタンはメッセージのヘッダ部に移動するなどして、操作性を向上させた。

 機能面では、Gmailへの対応を強化。IMAPでGmailを使用した際に、日本語環境では「送信済みメール」「ごみ箱」などの特別なフォルダが扱えなかった問題を修正したほか、IMAPのパフォーマンスを向上。また、Thunderbird 3にもGmailの「アーカイブ」と同様の機能を搭載した。

 このほか、メール本文に「添付」という単語が入っているのに、添付ファイルが無い場合に警告する添付ファイルの付け忘れ防止機能、日本からの要望が多かった署名エディタ機能などを搭載。Windows 7/Vista、Mac OS Xの検索機能への対応など、OSの機能との統合も強化した。

Webブラウザと同様にタブ表示機能を搭載Gmailへの対応を強化
ボタンを最小限にするなど操作性を改善添付ファイルの付け忘れ防止機能も搭載
米Mozilla Messaging CEOのDavid Ascher氏

 Thunderbird 3の開発を行っている米Mozilla MessagingのCEOを務めるDavid Ascher氏は、Mozillaが考えるメッセージングの将来像について語った。メッセージングサービスはメールだけにとどまらず、人々はより多くのオンラインコミュニケーションを利用するようになり、モバイルでの利用や、動画などよりリッチなメディアの利用も増えるだろうと説明した。

 また、メッセージングサービスでは、よりオープンなものが勝利を収めてきたとして、Mozillaでもオープン技術を用いて各種のメッセージングサービスを統合する「Raindrop」プロジェクトを開始したと説明。現時点で、Thunderbirdに各種のメッセージングサービスを統合する予定はなく、そうした取り組みは将来を見据えてRaindropで行っていくとした。


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(三柳 英樹)

2009/10/29 18:10