「総合的に判断して、Googleが利用者に一番良いと結論」ヤフー井上社長


ヤフーの井上雅博代表取締役社長(写真は6月2日に行われた記者会見より)

 ヤフー株式会社は27日、2010年度第1四半期(4月~6月)の連結決算を発表し、アナリスト向けの決算説明会では、井上雅博代表取締役社長がGoogleの検索エンジン採用について説明した。

 ヤフーでは同日、Yahoo! JAPANの検索エンジンと検索連動型広告配信システムに、Googleのエンジンとシステムを採用することを発表した。米国のYahoo!では、検索エンジンにMicrosoftの「Bing」を、検索連動型広告についてもMicrosoftのシステムを採用することを2009年7月に決定したが、Yahoo! JAPANは独自に検討した結果、Googleのシステムを採用することにしたという。

 井上社長は、「これまでは、米Yahoo!からYST(Yahoo! Search Technology)の提供を受けて、そこにYahoo! JAPANが日本向けの独自のものを加えて検索サービスを提供してきたが、今後はそれがGoogleの検索エンジンになる。検索結果ページのうちウェブ検索の結果が占める割合は50%で、ユーザーにとってはあまり変化は感じられないと思う」と説明。広告配信についても同様に、YSM(Yahoo! Search Marketing)からGoogleのシステムに変更するが、Yahoo! JAPANがそれをもとにカスタマイズしてサービスを提供していく点は変わらず、Yahoo! JAPANのコスト構造についても大きくは変わらないとした。

 BingではなくGoogleを選んだ理由については、「GoogleがYahoo! JAPANの利用者にとって一番良いだろうと総合的に判断した。Microsoftももちろん候補に入れて検討したが、検索エンジンについては各社に一長一短があり、どれが決め手と言えるものはなく、総合的な評価から決定に至った」と説明。また、広告配信システムについては、Microsoftは現時点で日本では提供していないサービスがあるなど、未知の部分が多かったとした。

 米Yahoo!との関係については、米Yahoo!創業者のジェリー・ヤン氏は引き続きヤフーの取締役を務めるなど、検索エンジンおよび広告配信システム提供以外の部分については関係は変わらないと説明。「今回の決定も米Yahoo!の了解を得て行ったもので、今後も良好な関係を続けていけると思う」と語った。

 また、Googleのエンジンおよびシステムの採用については、事前に日本の公正取引委員会に相談をしており、問題ないとの判断を得ていると説明。Yahoo! JAPANとGoogleが同じ検索エンジンを使っても、Yahoo! JAPANは検索サービスをカスタマイズして提供し、ユーザーインターフェイスも独自のものを提供していくため、Googleや他社の検索エンジンと競合していくことには変わりがないとした。

 ヤフーの2010年第1四半期の連結決算は、売上高が705億円(前年同期比4.2%増)、営業利益が376億円(同9.8%増)、経常利益が375億円(10.2%増)、純利益が216億円(同12.6%増)。リスティング広告やディスプレイ広告、Yahoo!ショッピング関連の売上が増加し、コスト削減を行ったことが、増収増益につながったとした。


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(三柳 英樹)

2010/7/27 20:05