青少年条例の改正「これ以上の猶予は許されない」~石原都知事の所信表明


 11月30日に本会議がスタートした第4回定例東京都議会に、「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」が議案として提出された。石原慎太郎都知事は所信表明で、「子供たちの目に決して触れさせてはならない漫画が、通常の書籍と並んで店頭に置かれている状況を改善する取り組みにこれ以上の猶予は許されない」などとして、改正の必要性を訴えている。

 議会への提出にあわせるかたちで、東京都青少年・治安対策本部では、議案の全文や新旧対照表のPDFファイルをウェブサイトで公開した。

 改正案では、青少年に販売したり閲覧させないよう事業者に努力義務を求める図書類として、「漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。」を規定している。

 東京都が当初、2~3月に開催された第1回定例都議会に提出した改正案で、漫画やアニメなどに描かれた「非実在青少年」に関する規制を盛り込んだことで、表現の自由などの観点から大きな議論が巻き起こり、6月の第2回定例都議会で否決されたことを受け、文言を修正したかたちだ。しかし今回も、漫画家や作家団体、出版社団体、弁護士団体などから反対声明が上がっている状況だ。

 改正案ではこのほか、携帯フィルタリングサービスの解除手続きを厳格化することなど、インターネット関連の新たな規制も盛り込まれている。所信表明では「犯罪に巻き込まれかねないインターネット上の有害情報から子供たちを大人の責任で守る必要がある」と述べている。


関連情報


(永沢 茂)

2010/12/1 13:01