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「ウイルス作成罪」盛り込んだ刑法改正案が可決・成立


 コンピュータウイルスの作成・提供行為を罪に問う、いわゆる「ウイルス作成罪」を盛り込んだ刑法改正案(情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案)が17日、参議院本会議で賛成多数により可決・成立した。衆議院では5月31日に可決されている。

 改正案は、ウイルス(不正指令電磁的記録)を、「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」と規定。正当な理由なく、人の電子計算機における実行の用に供する目的でウイルスを作成または提供した場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となる。同様に、正当な理由なくウイルスの取得・保管を行った場合は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金となる。

 ウイルスの作成・提供行為を罪に問う法律については、2005年に共謀罪の創設などとともに刑法改正案が国会に提出されたが、これまで成立には至らなかった。今回、改めてウイルス作成罪に関連する部分などが刑法改正案として国会に提出された。

 改正案ではこのほか、刑事訴訟法に、コンピュータ内のデータを差し押さえる場合には複写も可能とする規定や、捜査機関が電気通信事業者に対して通信記録を最大60日間保存するよう要請できる規定を追加。また、わいせつ物頒布罪に、ネットワークを通じて頒布した者も同様のものとすることを追加している。

 国会審議では、ウイルス作成罪に対する処罰対象の明確化や周知徹底の必要性、捜査機関による濫用に対して歯止めを置く必要性、保全要請に伴うプロバイダー事業者などの負担軽減の必要性などについての質疑が行われ、参院法務委員会では法律の適切な運用を求める付帯決議を採択した。

 法務省では、法案に関するQ&Aをウェブで公開。ウイルス罪は、1)正当な理由がないのに、2)無断で他人のコンピューターにおいて実行させる目的で――ウイルスを作成・提供した場合が成立要件にあたるとして、ウイルス対策ソフトの開発など正当な目的でウイルスを作成した場合や、ウイルスを発見した人がそれを研究機関に提供した場合などは、いずれも要件を満たさないため罪は成立せず、プログラマーがバグを生じさせた場合なども、故意犯ではないため罪にはならないとしている。


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(三柳 英樹)

2011/6/17 14:29