Mozillaの研究者ら、HTML5とJavaScriptでPDFレンダリングに成功

ネイティブプラグインは不要に?


 米Mozilla Corporationの研究者らのチームが、HTML5とJavaScriptによってPDFをブラウザー内でレンダリングすることに、初めて完全に成功したと発表した。そのソースコードは「pdf.js」と呼ばれており、現在、pdf.jsのデモが公開されている。

 PDFドキュメントを表示するには従来、Adobe Systemsなどによるネイティブコードのプラグインをブラウザーに組み込む必要があり、そのことがセキュリティ上問題になりやすいデメリットが指摘されている。しかしこの新手法であれば、ブラウザー内でのPDFの利用にまつわる多くの問題が解決されることになる。

 なお、現時点でpdf.jsはMozillaの正式なプロジェクトではないため、Firefoxなどに組み込まれるかどうかは不明だ。

pdf.jsのデモ(Windows VistaのFirefox 5.0正式版で表示した状態)

 pdf.jsの開発を始めたのは、Mozilla Corporationの研究者であり、カリフォルニア大学アーバイン校プロジェクトサイエンティストであるAndreas Gal氏。同氏は、JavaScript VMなどの研究を行っている。

 同氏やMozillaのChris Jones氏らを含むグループは、このプロジェクトを1カ月ほど進めてから6月15日にブログで公開し、その存在が広く知られるようになった。そして7月3日、完全にレンダリングすることを目標にしているPDFの表示に成功したことを発表した。

 ただし現時点で完全な形でレンダリングが可能なのは、Windows 7上でFirefoxナイトリービルドを使用している場合に限られる。Firefoxの正式版などでは、まだ正常に表示されないバグが数多く含まれている。今後はPDF 1.7仕様のピクセルレベルの完全なレンダリングを目標にする一方、Web Workersを使用して並列化処理も行うなどのアーキテクチャーの改善も行っていく。

 将来的には、pdf.jsをすべてのHTML5準拠ブラウザーで利用できるようにしたい意向で、三条項BSDライセンスを採用している。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/7/5 11:57