CDで購入した向谷実楽曲を無償でストリーミング利用可能に、JASRACと合意


 株式会社音楽館は、個人がCDで購入した楽曲を、自分のウェブサイトにおいて無償でストリーミング利用できる仕組みを確立した。24日、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)と合意したと発表した。動画サイト「ニコニコ動画」を運営する株式会社ニワンゴも協力する。

 8月下旬に発売するアルバム「向谷倶楽部の奇蹟」に収録の全17曲が対象で、利用は個人が運営する非営利サイトに限られる。アルバム購入後、利用希望者がサイトのURLとともに申し込むと、そのサイトで他の楽曲の無断使用など行っていないか確認した後、ウェブページに埋め込む17曲分の楽曲プレーヤーを付与する。

 楽曲データはニコニコ動画の配信サーバーに格納しており、サイト閲覧者がプレーヤーの再生ボタンをクリックすると、同サーバーからストリーミング配信される仕組み。なお、同時に使用できるのは1曲に制限されており、楽曲を変更する場合はプレーヤーを差し替える必要がある。

 ストリーミング利用で発生する著作権使用料は、音楽館が全額負担し、JASRACに支払う。音楽館では、この仕組みにより、楽曲の購入者が簡単に無償でストリーミング利用できるようになると説明。また、「従来はっきりしなかった購入した個人のお客様が楽曲を利用する範囲を明確化するとともに、ネット時代における音楽芸術の新たな活用範囲を広げ、その流通にも資することになる」とコメントしている。

音楽館とJASRACとの合意により確立した仕組みの概要

 音楽館の代表取締役でミュージシャンの向谷実氏は2010年6月、TwitterやUstreamなどソーシャルネットワークを活用して楽曲制作を可視化する「向谷倶楽部」を始動。中西圭三、サンプラザ中野くん、中嶋ユキノ、キム・ビアンカクリステル・チアリ、ドン・グルーシンらの参加を得て活動を行ってきたという。向谷倶楽部の奇蹟は、その1年間の制作活動をとりまとめたもの。発表した主要楽曲を2枚のCD(SHM-CD方式)に収録したほか、メイキング映像などを収めたDVDもセットにし、向谷倶楽部のウェブサイトで販売する。価格は6000円。

 なお、同アルバム収録曲の著作権はJASRACに管理を委託しているが、著作隣接権については音楽館で管理しているという。そのため、JASRACと著作権使用の包括契約を結んでいるニコニコ動画、YouTube、Ustreamなどでは、投稿動画において、同アルバムの音源を音楽館の事前承諾不要で無償で利用できるとしている。


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(永沢 茂)

2011/8/24 16:18