Microsoft、どこからでもファイルを利用できる“新SkyDrive”を発表

アプリはWindows/Mac/iOS/Windows Phoneに対応


 米Microsoftは24日、オンラインストレージサービス「SkyDrive」の新発表を行った。

 発表内容には、「SkyDrive for Windows Desktop(プレビュー版)」「SkyDrive for OS X Lion(プレビュー版)」「SkyDrive for iOS(バージョン2.0)」「SkyDrive for Windows Phone」という各OS対応アプリのほか、「SkyDrive.com」からのファイル取得機能の追加が含まれている。

“新SkyDrive”では各OSに対応するアプリを提供

 また、SkyDriveの新規ユーザー全員に、7GBのストレージ容量が無料で提供される。なお、既存ユーザーは、オプトインすることで元々提供されていた25GB容量を維持できる。さらにそれ以上の容量を利用したい場合、有料で容量を購入できるオプションが用意された。

Windows/Macを含め各種プラットフォーム向けにアプリ提供

 SkyDrive for Windows Desktopは、Windows 8/7/VistaのWindowsエクスプローラーから直接SkyDriveを利用できる機能を提供する。「Windows Live Mesh」とは異なり、SkyDriveでは任意のフォルダーを同期させることはできず、専用フォルダーのみを同期させるシンプルな方式に変更している。このSkyDriveフォルダーはインストール時にデフォルト位置に設定されるが、ユーザーがドキュメントフォルダーなどに移動させることが可能だ。SkyDriveフォルダーへのファイル変更は、即座に他のPC、Mac、iOS端末、Windows PhoneのSkyDriveに同期される。

SkyDrive for Windows Desktop

 SkyDrive for OS X Lionは、SkyDriveがMac OSのFinderと統合された。これまでは「Microsoft Office for Mac 2011」でSkyDriveを利用できたが、Finderと統合されたことにより、すべてのMacアプリケーションでSkyDriveファイルを利用できるようになる。

SkyDrive for OS X Lion

 SkyDrive for iOSとSkyDrive for Windows Phoneでは、SkyDriveのファイル削除、名前の変更、ファイル移動を行えるほか、全ファイルとフォルダーの共有オプションが提供された。さらにiPadにも新たに対応し、iPhone版の機能に加えてiPadのRetinaディスプレイのサポートが追加されている。

SkyDrive for iPad

Windows PCを「自分のプライベートクラウド」に

 別の注目機能として、2月に発表されていたSkyDrive.comからのファイル取得機能が新たに利用できるようになった。

 これは、自宅などのWindows PCでSkyDriveプレビュー版が起動している状態であれば、外部から自分のPCにリモート接続し、ファイルをSkyDriveに移動したり、写真やビデオをストリーミング視聴できる機能だ。

 この機能はリモート接続を利用するため、セキュリティ認証手続きが必要となる。SkyDriveアカウントにサインインした上に、携帯電話または異なるメールアドレスに送信されるコードを別途入力する必要がある。

 Microsoftでは、この機能によってWindows PCを「自分のプライベートクラウド」にできると称している。

SkyDrive.comからのファイル取得機能(Microsoft Building Windows 8公式ブログより画像転載)

 SkyDriveのストレージは、新規ユーザーには7GBが無料提供される。Microsoftの推計によると、現在のSkyDriveユーザーの99.94%は7GB以下しか利用しておらず、この容量ですら2万を超えるOfficeドキュメントまたは7000枚の写真を保存できることから、大抵のユーザーではこれで十分だろうとしている。

 これ以上の容量を利用したいヘビーユーザーに対しては、追加料金を支払うことで容量を追加できる。20GBが年額10ドル、50GBが年額25ドル、100GBが年額50ドルで提供される。支払いはクレジットカードまたはいくつかの国ではPayPalで行うことができる。

 これまでSkyDriveは無料で25GBを提供していた。そのため、今回の発表直前の4月22日時点でSkyDriveユーザーであり、かつファイルをアップロードしたことのあるユーザーに対しては、オプトインすれば25GBのストレージ容量を維持できるようにしている。この場合、ユーザーがログインするとメッセージが表示され、そこから簡単に手続きを行うことが可能だ。

SkyDriveユーザーのストレージ使用容量分布(Microsoft Building Windows 8公式ブログより画像転載)

 この新SkyDriveは非常に野心的なストレージサービスだ。ほぼすべてのプラットフォームに対応した上に、ストレージ容量も現在人気のDropboxなどにひけをとらないか、それを上回る容量を無料で提供している。その上、現在最も利用者の多いWindowsとシームレスに統合され、ファイル取得機能を利用すればスマートフォンから自宅あるいは会社のPCにログインしてパーソナルクラウドとして利用できる。Windowsの優位を生かすための高度な戦略と言えそうで、今後、GoogleやApple、また他のオンラインストレージサービスとの競合の行方が注目される。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/4/24 12:43