「Google Drive」競合との優位点は? プロダクトマネージャーに聞く


 オンラインストレージサービス「Google Drive」の公開に伴いGoogle日本法人は25日、報道関係者向けに説明会を開催。Google Driveのプロダクトマネージャーを務めるスコット・ジョンストン氏が、ビデオチャットを通じてサービス開発の意図や競合サービスとの優位点について語った。なお、サービスの詳細は本誌関連記事を参照してほしい。

Google Driveのプロダクトマネージャーを務めるスコット・ジョンストン氏

インフラ構築で学んだすべてをつぎ込んだ

 Googleがオンラインストレージサービスに参入することについてジョンストン氏は、「Googleが何年もクラウド上で行ってきたことの延長」と語る。Google Driveには同社がインフラ構築で学んだすべてをつぎ込んでいるといい、「Googleならではのスケールメリットによって、競争力のある価格でサービスを提供できている」と自信を示す。

 サービスの特徴としてはまず、WindowsやMac向けのアプリケーションだけでなく、Androidアプリやウェブといったさまざまなインターフェイスを用意していることを挙げる。近い将来にはiOSアプリも提供する予定という。

Macでの操作画面

 また、Google Docs(Googleドキュメント)では、文書以外のファイルをアップロードできる機能があるが、こうした技術によってAdobe SystemsのPhotoshopやIllustratorなどを含む30種類以上のファイル形式をサポートしている。

 機能面ではさらに、「Google Goggles(Googleゴーグル)」で使われている画像認識機能を活用し、画像に含まれる対象物をもとにした検索が可能だ。

 例えば「Everest」と検索すると、Google Driveに保存されたエベレスト山の画像を探せるだけでなく、「Everest Nepal」と検索すると、ネパール側から見たエベレスト山の画像のみを表示できる。

Everestと検索した画面

 OCRによって画像に含まれる文字列も認識するため、画像ファイルに書かれた文字列でもファイルを検索することが可能だ。現時点では日本語のOCRはサポートしていないが、「近い将来対応する」という。

ladyと検索した画面。画像ファイルも検索結果に

Google Driveがコンテンツの集約場所になる

 以下は報道陣との一問一答。

――「SkyDrive」や「Dropbox」など競合サービスへの優位点は?

 まず重要なのは、Google Driveではサービスにログインしながらファイルの作成や編集が行えること。さらには、ソフトウェア開発キット(SDK)を公開しているため、サードパーティが開発したアプリをGoogle Driveに取り込める。

 ファイルの検索機能も充実している。ファイルの名称や種類で検索できるだけでなく、画像の対象物を認識した検索が行える。OCRを使ってスキャンされた画像に含まれる文字列まで検索できる。

 Googleの各種サービスとシームレスに融合する点も特徴だ。例えばGmailやGoogle+では、Google Driveに保存したファイルを簡単に添付できる仕組みを用意しており、Google Driveは今後、コンテンツの集約場所となるだろう。

Google+との連携も図っている

――サードパーティが開発したアプリはどれくらいあるのか。

 現在は20社がアプリを提供しており、Google Driveに保存しているファイルをファックスで送信したり、Google Drive上でワイヤーフレームを作成するツールなどがある。サービス発表前はSDKを限定的に公開していたが、今後はどんどんアプリが増えていくだろう。

サードパーティによるアプリ。Google Drive上でワイヤーフレームを作成できる

――サービスの収益元は?

 ユーザーへの有料課金のみで、広告収入はない。全体のユーザーに占める有料ユーザーの割合見込みは非公表だ。

――エンタープライズのGoogle Appsに対応するのか。

 もちろんだ。Google Driveは企業にとっても重要なサービスとなる。いくつかの管理ツールを提供しているほか、企業が購入したストレージを組織内のユーザーに割り当てられるようにしたり、そのサポートも行っている。

――現在は一部のユーザーのみが利用可能となっているが、すべてのユーザーが利用できるのはいつごろか。

 数週間以内には全ユーザーが使えるようになる。

――無料で提供するファイル容量を増やす予定はあるのか。

 現時点でそのようなプランはないが、常にユーザーがどう製品を使っているかを見ながら評価していきたい。


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(増田 覚)

2012/4/25 13:25