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「TPP交渉を公開せよ」MIAUなど3団体が知財問題を考えるフォーラム結成

 「TPP(環太平洋経済連携協定)」交渉の透明化を求めて、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン、thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム)、MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会)の3団体が新たなフォーラムを設立した。

 名称は「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」(thinkTPPIP)。12日には、漫画家の赤松健氏や弁護士の福井健策氏らが東京大学本郷キャンパスでフォーラムのキックオフ・公開シンポジウムを開催。その模様はニコニコ動画で中継する。

 フォーラムは「TPP自体についてはニュートラル」というスタンス。その一方で、秘密協議によって国民にほとんど情報開示されないことや、知的財産権条項の内容に強い危惧を抱くといい、TPP交渉の公開化を強く求めていく。要請が受け入れられない場合は、TPP参加条件として、知財条項を交渉対象から除くことを政府へ訴えかける。

 米国をはじめとするTPP交渉参加国は秘密交渉を行なっている。今後日本が参加すれば、これに従わなければならない。そうした中、知的財産に関する米国の要求条文がネット上に流出。その内容はthinkCの世話人を務める福井氏が抄訳を公開しており、本誌でも解説コラムを掲載している。

 福井弁護士によれば、流出文書には著作権保護期間の大幅延長、被害者の告訴なく著作権・商標権侵害を起訴・処罰できるようにする「非親告罪化」、知的財産権侵害の際に高額の賠償請求を可能にする「法定賠償金・3倍額賠償金制度」、「3ストライクルール」などの反復侵害者に対するネット接続の強制解除といったことが求められているという。

 フォーラムのサイト上では、フォーラムの提言に同意する人の賛同署名を集めるとともに、総選挙でのTPPの透明化・知財政策の問題意識について候補者の見解を伝えていく。また、同様の危惧を持つ海外の団体とも連携する。

 フォーラムのキックオフ・公開シンポジウムは「TPPの交渉透明化と、日本の知財・情報政策へのインパクトを問う!」をテーマに、12日18時から20時半まで開催する。赤松氏や福井氏のほか、社会学者で東京大学大学院情報学環教授の吉見俊哉氏、弁護士でクリエイティブ・コモンズ・ジャパン常務理事の野口祐子氏、駿河台大学経済学部講師でMIAU幹事会員の八田真行氏が参加する。入場は無料で、サイトから申し込める。

(増田 覚)