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出版デジタル機構がビットウェイを完全子会社化、凸版印刷から全株式を取得

 講談社をはじめとした大手出版社などが出資する株式会社出版デジタル機構は30日、凸版印刷株式会社から株式会社ビットウェイの全株式(2万7000株)を取得し、子会社化することを発表した。譲渡額は非公表。株式の譲渡契約は30日付で締結された。株式の譲渡予定日は7月1日。

 出版デジタル機構は2012年4月に正式発足。電子書籍の制作や配信についての代行業務など、主にインフラ面でのサービスを行っている。「パブリッジ」というブランドネームを用いているが、一般ユーザー向けの小売ストアなどは現時点で展開していない。

 一方のビットウェイは、凸版印刷のPC向けデジタルコンテンツ流通事業として1999年7月にスタート。その後、フィーチャーフォン向けの電子コミック配信などにも事業を拡大し、2005年に凸版印刷から分社化したが、2013年3月に再度会社分割が行われ、電子書籍取次事業とPCコンテンツ配信事業を承継していた。

 出版デジタル機構と凸版印刷では、電子書籍市場拡大への課題として、スマートフォンをはじめとした新型端末への対応、コンテンツのさらなる拡充、迅速かつ低コストな流通(取次)網整備などを挙げている。加えて、市場からはよりスピーディな対応が求められていることから、電子書籍の取次事業で実績あるビットウェイの譲渡に至ったとしている。

 出版デジタル機構は、まずビットウェイを子会社化した後、将来的には両社統合する方針を示している。

 凸版印刷ではプレスリリースの中で「出版デジタル機構とビットウェイの取次事業を統合することで、それぞれが単独で事業展開を行うよりも市場の活性化をさらに加速させることが可能だと考えている」と説明。今後は、電子書籍の制作支援事業および電子書籍ストア事業(株式会社BookLive)に経営資源を集中させたいという。また、電子書籍のオンデマンド印刷サービスなど、新規事業にも取り組む。

(森田 秀一)