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富士ゼロックス、GPSとスマホによる「観光音声ガイドサービス」

観光スポットに近づくと音声で観光案内

 富士ゼロックス株式会社は10日、GPSとスマートフォンを活用し、全国の観光地を訪れる観光客向けに観光スポットの紹介を行う「観光音声ガイドサービス」を、地方自治体・観光協会向けに提供を開始した。

 同サービスは、地方自治体が貸し出すスマートフォン端末用(富士ゼロックスが提供する専用端末)のアプリと、観光ガイドコンテンツをクラウド環境で制作するツールで構成される。

 地方自治体は制作ツールを利用して、あらかじめガイドしたい場所の位置情報とテキストコンテンツをクラウド上のサーバーに登録。観光客は、アプリと音声コンテンツが搭載されたスマートフォンを観光案内窓口などで借りて自由に散策。登録された観光スポットに近づくと、自動的に音声で観光案内を聞くことができる。GPSとの連携により、タイミングよく音声ガイドを聞けるので、ストレスなく散策を楽しめるのが特長だ。

 価格は利用登録料(初期費用)が20万円(税別)、コンテンツ制作ツール利用料が月額1万円(同)。このほか専用端末の金額、およびアプリの使用料として利用回数に応じて3カ月に1回課金が発生する。初期費用としては「端末を何台購入するかにもよるが、およそ50~100万円程度」とのこと。

観光音声サービスのイメージ
地方自治体や観光協会に向けたサービスとなる

クラウド上の制作ツールで簡単コンテンツ作成

 コンテンツ作成はクラウド上の制作ツールで行う。位置情報を指定して、読み上げたいテキストを入力するだけの手軽さだ。音声は合成音声が基本だが、生の声を利用することも可能。必要に応じて音楽、画像を追加することもできる。日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語に対応。

 GPSの位置情報に加えてどちらの方向からその場所に近づいたかによって「もう少し歩くと~が見えてきます」といったコンテンツが作れる。また、「~が見つかったら続きを聞いてください」とテキストを前半・後半に分けてコンテンツを作成し、後半に詳細な説明を登録、後半は任意にスルーできるなど“観光者への気配り”も盛り込める。

 作成したコンテンツはあらかじめ専用端末のSDカードに保存しておく。このため端末にインストールし再生可能な音声ガイドコンテンツの大きさは、1つの言語について音声ガイドメッセージの個数が500個まで、全言語合わせたデータの総容量が2GBまでと制限がつく。

制作ツールのトップ画面
位置情報を指定し、その場で流れるテキストを入力。作成されたコンテンツをダウンロードし、専用端末のSDカードに入れておく

情報提供する自治体のメリット

 すでに気仙沼大島、鎌倉市、有馬温泉など10自治体で実証実験が行われている。メリットとしては、地元の複数の情報発信者で共同制作ができ、季節の魅力や地域のイベントなど最新情報の音声ガイドを組み込めること、最近増えている外国人旅行者向けの観光音声ガイドが提供できること、クラウド上の制作ツールを利用して観光情報を提供できるため、初期費用や運用コストを抑えられること、などが挙げられる。

 10自治体からは「富士ゼロックスには早く正式サービスとして提供して欲しい」といった声が挙がるなど好評のようだ。有馬温泉の担当者は「地元に詳しい年配の方による音声ガイドや、大阪人から見た裏・有馬温泉の魅力といった、個性を生かした案内も考えられる」と楽しそうに話す。実際、利用した観光客からの評判も良好なのだという。

利用する観光客のメリット

実証実験アンケート結果(利用意向率)

 観光客のメリットは、貸し出された端末と地図を持って歩いていると、あたかも地元のガイドに案内されているかのような感覚で散策できる点だ。

 音声ガイドは前半・後半に別れていて、前半の概要を聞いて興味のあるスポットでは後半の詳細を選択するなど、聞きたくない場所では聞かないという選択も可能。端末の操作は大きなボタン操作のみなので、スマートフォンになれていないシニア層でも簡単に利用できる。

 ただ、専用端末を利用しなければならず、観光客が自分のスマートフォンを利用できない点は残念だ。理由は「Androidの機種によって動作が異なってしまうため」とのこと。安定したサービスを提供するため、富士ゼロックスで検証済みの端末を提供する方法を採ったわけだ。

 しかし実証実験のアンケートでは、シニア層で93%、若年層で100%が「また使いたい」と回答。実際の声として「新しい発見があった」「音声ガイドから流れる心地よい声の響き、易しい説明に旅の楽しさが倍増した」「ガイドを聞いている内にこの街に住みたくなった(そのまま不動産に行ったという)」などが挙がったという。

 富士ゼロックスでは、2013年度に50地域、2014年度に100地域への導入を目指す。

(川島 弘之)