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TPPによる著作権保護期間延長に反対する国際共同声明、thinkTPPIPが和訳公開

 TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)は17日、米電子フロンティア財団(EFF)やクリエイティブ・コモンズなど35団体による、TPPにおける著作権の保護期間の延長に反対する共同声明の和訳を公開し、声明への参加を呼び掛けた。

 共同声明は、TPP交渉国の大臣や議員に宛てたもので、7月9日に公表。EFFやクリエイティブ・コモンズ、ウィキペディアを運営するウィキメディア財団、米国やカナダの大学・研究図書館からなる北米研究図書館協会(Association of Research Libraries)をはじめとする各国の図書館団体、インターネット・アーカイブ、消費者団体の国際組織である国際消費者機構(Consumers International)など35団体が参加している。

 声明では、パブリックドメイン(著作権保護期間が満了した著作物)は社会のすべての活動分野に社会的・経済的利益をもたらすものであり、ほぼすべての経済学者が、著作権保護期間の延長は無意味であるという点で意見が一致していると説明。保護期間延長賛成派が主張している、著作者の平均寿命の高齢化、著作権保護期間の長い国は文化的な投資にとって魅力的である、ハーモナイゼーション(保護期間の国際的な調和を取る必要がある)といった主張は、いずれも誤ったものだとして、関係者に対して著作権保護期間の延長を拒絶するよう要請している。

 thinkTPPIPを構成する、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン、thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム)、MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会)の3団体と、「青空文庫」の活動を支援する本の未来基金の計4団体は、この共同声明に加わるとともに、日本の関係団体に参加を呼び掛けるため、原参加国側の了承を得た上で、共同声明の参考和訳を公開した。

 thinkTPPIPでは、「この呼び掛けが『原則死後50年』という著作権の保護期間を守ってきた最大の先進国・日本の図書館や各種アーカイブ、そして情報政策やインターネット関連の関係者が保護期間延長をはじめTPPの著作権問題について声を上げ、交渉関係者に対してその声を届けるきっかけとなることを願ってやみません」とコメントしている。

(三柳 英樹)