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自分の全く知らない言語で会話が可能に!? 自動通訳「Skype Translator」開始

音声通訳はまず英語・スペイン語から

 米Microsoft傘下のSkype Communications SARLは15日、音声通話の自動通訳技術「Skype Translator」のプレビュー提供を開始したと発表した。

 Skypeは11月、Skype Translatorのプレビューを開始する予定があることを公表し、関心のあるユーザーからの申し込みを受け付けていた。今回が初めてのパブリックプレビューとなる。

 プレビューでは、話した言葉がリアルタイムで通訳されていき、通訳内容が書き起こして表示される。通訳を介して話すことに慣れていると簡単に使用できるが、そうでない場合には戸惑いを感じるユーザーもあるかもしれないと指摘しており、ユーザーインターフェイスの開発も重要になってくる。

Skype Translator(Skype Garage & Updatesブログより)

 今回のプレビューで対応しているのは英語・スペイン語間の音声通訳と、インスタントメッセージによる40以上の言語の翻訳。利用環境としてWindows 8.1またはWindows 10テクニカルプレビューのデスクトップ版またはタブレット版のSkypeに限られている。

 なお、会話内容は匿名化された上でクラウドにアップロードされ、翻訳品質向上のために利用されることになっている。

 Skype Translatorは機械学習技術を使用し、使えば使うほど品質が向上すると考えられる。今回のプレビューもそのデータ収集に重要な役割を果たすことになる。機械翻訳では書き言葉を扱うのに対して、Skype Translatorは実生活の話し言葉が使用される点がこれまでと大きく異なっている。Microsoftでは、Microsoft Researchの機械学習技術、機械翻訳技術、音声認識技術を駆使し、サービスのプレビューに至ったと説明している。

 Skypeでは今後の長期的な目標として、Skype Translatorをできるだけ多くの言語とプラットフォームに対応させることとしている。

Skype Translatorの仕組み(Skype Garage & Updatesブログより)

 Skypeは今回の発表の中で、Skype Translatorを使用している米国のシアトルとメキシコのメキシコシティにある小学校の子供たちが、Skype Translatorで各自の母国語で会話している動画を公開。ごく簡単な会話であるため、通訳品質は極めて高いことが分かる。このレベルの自動通訳は実用レベルになったと言える。さらに動画では、言葉の壁を取り払った時に世界中の人々がコミュニケーションを自由に行えることの素晴らしさをよく表現している。今後、簡単な会話にとどまらず、実世界の会話でどれだけ複雑な内容にまで対応していけるかが注目される。

Skypeが公開した動画

(青木 大我 taiga@scientist.com)