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災害ツイートから有用な情報を抽出できるシステム「DISAANA」、デマ対策機能も

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は8日、対災害SNS情報分析システム「DISAANA(ディサーナ)」のリアルタイム版をウェブ上で試験公開した。

災害に関する情報をリアルタイムで取得可能

 DISAANAは、「DISAster information ANAlyzer」の略。東日本大震災の時に、TwitterなどのSNS上で有用な災害情報が投稿される一方で、それらの情報を利活用できる分析・検索手段が十分ではなく、必要な情報を得られにくかったという背景から、被災者・復旧・救援活動に対して有用な情報を提供するシステムとしてNICTが研究・開発しているもの。

 Twitterに投稿された情報をリアルタイムで分析し、「大雪が降っているのはどこか」「孤立しているのはどこか」「京都で交通事故が発生しているのはどこか」といった質問を入力すると、さまざまな表現の違いを考慮して回答候補を抽出し、地図上あるいはカテゴリー別にリストとして表示。一般ユーザーでもリアルタイムで発生している災害情報を入手できる。

 リアルタイム版では、スマートフォン/タブレットのブラウザーからアクセスできる「DISAANA mobile」も提供。PC版と同等の機能に加え、GPSで現在地周辺の災害関連情報をボタン1つで抽出・表示できる。DISAANAは、リアルタイムでツイートを取得し、その分析結果を最長4日間保持する。

スマートフォンのGPSを用いて現在地周辺の災害関連情報をカテゴリーごとに整理して表示
回答候補を地図上でも確認でき、被害の全体像を把握できる
物資の不足といった情報を抽出し、救援活動をアシストする
2014年12月に発生した大型低気圧に関するツイートを対象にした場合の例

 デマ情報に対処するため、情報の信ぴょう性の判断材料として、矛盾する内容のツイートも同時に検索する。例えば「石油コンビナート燃焼により雨が酸性雨になります」という内容のツイートと「石油コンビナート燃焼で酸性雨が降るのはデマです」を同時に抽出し、回答候補の「酸性雨」というカテゴリーに「矛盾情報あり」というマークを追加する。

デマ情報に対処するため、矛盾するツイートを同時検索して「矛盾情報あり」というマークを付与する
PC版での動作例

 今後、自治体などの協力のもと、災害時を想定した実証実験を行い、実際の災害時における運用上の問題などを明らかにするとともに、機能追加や使い勝手の向上を図る。なお、DISAANAはまだ開発中のため、冗談、いたずらなどのツイートを回答候補として提示する場合もあるとしており、実際の避難・救援で使用する場合は、回答候補として抽出したオリジナルのツイートを確認する必要があるとしている。

(山川 晶之)