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NTT東西、IP電話乗っ取り被害への対策を発表、今後はNTT側の判断で発信規制も実施

 東日本電信電話株式会社と西日本電信電話株式会社(NTT東西)は6日、IP電話の乗っ取りにより国際通話の高額な通話料が発生する被害が増えている事態を受け、今後は注意喚起の徹底や、発信規制手続きの迅速化を行うとともに、通話料が急増した場合にはNTT東西の判断で国際通話の発信を一時的に規制する緊急的な措置を行う対策を実施していくと発表した。

 NTT東西では、ユーザーが利用しているPBXなどの機器やソフトウェアに対する第三者による不正なアクセスなどにより、企業などに設置している電話を不正に利用され、発信された国際通話での高額な通話料が発生するという被害が増えていると説明。ユーザーに対しては、改めて利用中の機器やソフトウェアを提供するメーカー、保守事業者などに相談し、外部からの接続環境の再確認を行うとともに、パスワードの設定など運用の見直しを行うなど十分なセキュリティ対策を講じ、第三者による不正なアクセスが行われないよう注意してほしいとしている。

 今回の事象においては、NTT東西の設備故障・不具合などに起因して発生するものではなく、通信事業者だけでは防ぐことができないため、通信事業者と端末やソフトウェアの提供メーカー、利用者のそれぞれで、被害を抑制する取り組みを進めていく必要があるとしている。

 その上で、NTT東西では通信事業者として今後の被害拡大を抑制するべく、さらなる対策を実施すると説明。今後の対策としては、注意喚起の徹底として、現在、ひかり電話を利用中のすべてのユーザーに対して、準備が整い次第速やかにダイレクトメールなどにより、国際通話の発信規制について検討するよう案内を行う。

 ユーザーからの国際通話の発信規制に関する申し込みについては、現状では申し込み日の翌営業日に発信規制の工事を完了しているが、申し込み日当日に工事を完了できるよう、7月下旬をめどに手続きの迅速化を図る。

 NTT東西では現在、前月の通話料に対して数倍にも及ぶ通話料が発生したユーザーについては、NTT東西がそれを認知した後速やかに個別に連絡し、連絡がとれたユーザーには、国際通話の発信規制を実施するよう案内している。今後は、連絡がとれなかったユーザーについても、緊急的な措置として、NTT東西の判断で国際通話の発信を一時的に規制し、事後にユーザーに連絡する対応を、7月下旬をめどに新たに開始する。

 また、今回、国際不正通話により発生した通話料については、NTT東西の設備の故障・不具合に起因したものではないことから、ユーザーに通話料を請求しているという。ただし、今回のケースでは、ユーザーが国際不正通話の発生を認知、確認し、対応策としてNTT東西によるひかり電話の国際通話の発信規制をNTT東西に申し出たが、発信規制の工事が完了するまでに時間を要した場合があったという。

 こうしたユーザーについては個別に連絡の上、発信規制の申し出から工事完了までの間の国際不正通話により発生した通話料金相当額をNTT東西から支払うとしている。対象数は、NTT東日本が約90件、NTT西日本が約30件。

発生事象例1。IP-PBXソフトウェアなどの利用におけるインターネット経由での内線電話端末としてのなりすまし
発生事象例2。外出先などから接続し会社などの電話回線を利用して発信する機能を悪用した第三者不正利用

(三柳 英樹)