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地震の発生時、通信回線が輻輳する前に家族の位置情報を共有するアプリ「ココダヨ」

 株式会社ゼネテックは、災害発生時に家族などが互いの位置情報をスマートフォンで共有するためのサービス「ココダヨ」を9月1日より提供すると発表した。Android/iOS向けの専用アプリを同日より提供し、2016年3月末まではトライアルキャンペーンとして無料提供する。有料化の際は、個人向けサービスが月額100~200円程度、法人向けが月額300~500円程度を想定している。

 ココダヨのユーザーは、メンバーを4人までグループ登録可能で、最大5人で位置情報を共有できる。端末にインストールしたアプリからは、GPS位置情報が定期的(1~120分で設定した間隔)にココダヨのサーバーに送信され、蓄積されていく。

 緊急地震速報などの災害発生時の警報が発令されると、それをトリガーとして、サーバーに蓄積されていた各メンバーの直前の位置情報が、グループ内のメンバーのアプリにSMSやメールで自動配信される仕組み。実際に災害が発生した後で通信回線が安否確認のやり取りなどで輻輳したり、キャリアによる通信規制がかかってつながりにくくなってしまう前に、家族の居場所を把握できるとしている。

 ココダヨでは、その後の安否確認機能も備えている。各メンバーが「助けて」「困った」「無事」といったステータスをワンタップで送信できるようになっており、「無事」ではないメンバーが1人でもいる場合はココダヨのホーム画面が赤色で表示され、全員が「無事」になった際に緑色に戻る。

 災害発生時以外の平常時にも、子供や高齢者の見守り目的で居場所を確認したり、逆に何か困った際に自分の居場所とメッセージを家族に通知するといった活用が可能。どの程度まで詳細な位置情報を共有するかは、「非公開」「都道府県」「区町村」「街区番地」のレベルをメンバーが設定可能だ。

 なお、安否確認機能については、通信回線の状況によって影響を受けるという。災害発生後は輻輳や通信規制によりつながりにくくなったり、地図を表示できないといったことも想定される。これに対してゼネテックでは現在、そういった影響を受けにくい、HTTPとは異なる容量の小さい新プロトコルを開発中だとしており、今後、ココダヨに実装する計画だ。

株式会社ゼネテック代表取締役の上野憲二氏

 ゼネテック代表取締役の上野憲二氏によると、ココダヨにおける位置情報の自動通知の仕組みは、同社が2007年の時点ですでに特許を取得していた技術。しかし当時はまだスマートフォンが普及しておらず、携帯電話の位置情報を取得にするには基地局の情報を活用するしかなく、携帯キャリアの協力のもとで大がかりなシステムを構築する必要があったという。実際、ゼネテックではキャリアにも提案したが実現には至らず、ここに来てようやくサービス化にこぎ着けることができたとしている。

(永沢 茂)