Opera、Webブラウザをサーバー化する「Opera Unite」を公開


Opera Unite

 ノルウェーのOpera Softwareは16日、Webブラウザにサーバー機能を持たせる新基盤技術「Opera Unite」を発表した。現在、次期ブラウザ「Opera 10」上で動作するテクニカルプレビュー版が公開されている。

 「Opera Unite」は、Webブラウザをクライアントとしてだけでなく、Webサーバーの機能も組み込むことによって、外部にコンテンツやアプリケーションを公開できるようにするための基盤技術だ。Operaでは、Opera Uniteがどのようなものかを示すサンプルとして、ファイル共有、Webサーバー、メディアプレーヤー、写真共有、チャットサービス、メモ共有の、6つのアプリケーションを公開している。

 例えばファイル共有サービスでは、ユーザーが公開したいローカルフォルダを選択すると、固有のURLが割り当てられ、共有が可能となる。公開するフォルダが自分のノートPC「notebook」にあり、Opera IDのユーザ名が「taro」である場合、そのアドレスは「http://notebook.taro.operaunite.com/file_sharing/」となる。アクセス制限設定は、一般公開される「Public」、パスワード制限がかかる「Limited」、ローカルのみで利用できる「Private」の3種類が用意されている。

 Operaでは、懸念されるセキュリティの問題に対して、Opera Uniteのセキュリティレベルはウィジェットと同じ程度だと説明。どのWebアプリケーションも、Opera 10のサンドボックスで動作しており、セキュリティを確保するとしている。ただし、現在はテクニカルプレビュー版であり、改良が続けられる予定だ。

 Operaが発表したサンプルアプリケーションは非常にシンプルで、Web上で既に提供されている種類のものだ。Operaでは、これはOpera Uniteがありきたりだというわけではなく、あくまでもどのような技術であるかを説明するために作成されたアプリケーションだと説明。Opera Unite上で動作するWebアプリケーション「Opera Unite Service」の開発に必要な情報を、サイトで提供している。

 Operaでは、Opera Uniteを開発するに至った理由について、ユーザーはほんの少しのデータを友人と共有する場合にも、大企業が所有するクラウドに情報を預けなければならず、我々のコンピュータは『1級市民』たるサーバーに接続するための単なる端末に成り下がってしまっていると説明。Opera Uniteは、こうした状況を変え、Webを使って人と人とがより個人的に接続し合う、人間的なネットワークを構築できるとした。

 現時点で、Opera UniteはWindows/Mac/Linux上のOpera 10ブラウザでのみ動作している。将来的には、Operaが動作しているすべての環境、携帯電話やセットトップボックスなどにも対応したいとしている。現在は、Operaを起動していなければOpera UniteのWebアプリケーションは公開できないが、バックグラウンドで動作させるなど他の方法も検討されている。また、将来的には開発者が有料でアプリケーションを公開できるようにすることも検討されている。

 Opera CEOのJon von Tetzchner氏はOpera Uniteについて、「Web 5.0と呼べるほどのもの」だと説明。Web 2.0の次にどのような時代が来るかを多くの人が模索している中で、Web 5.0と述べる背景には、この考え方が時代に先んじすぎているかもしれないとの懸念がありそうだ。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2009/6/17 12:16