米Googleのフィシャー副社長が「Google AdWords」のメリット説明


 グーグルは17日、検索キーワード連動型広告配信システム「Google AdWords」に関する記者説明会を開催した。米Googleでグローバルオンラインセールスおよびオペレーション担当副社長を務めるデビッド・フィシャー氏がオンライン広告市場の現状と今後について語った。

個人事業者から大企業まで共通の場で競争できる

米Googleグローバルオンラインセールスおよびオペレーション担当副社長のデビッド・フィシャー氏

 フィシャー氏は、Google入社以前は米財務省の首席補佐官代理として財務長官の顧問を務め、連邦政府内のさまざまな経済政策問題に取り組んだ。Googleでは、オンラインセールスとオペレーションプログラムを2002年初めの立ち上げから指揮。AdWordsパブリッシャープログラムのオンラインセールスチャネル部門も統括している。

 フィシャー氏はAdWordsについて、「事業者をサポートするようにデザインしている。情報の民主化により、ユーザーに有益な情報を伝えることが目的。私の役割は個人事業者から大企業まで幅広くサポートすること」だと説明。AdWordsの特徴は、「個人事業者から大企業まで、インターネット上の共通の場で競争できる」と述べ、その例として米国のAdWords利用者を紹介した。

 「アリゾナでカウボーイブーツを売っている93歳のおじいさんに会った。今まで彼が出していた広告は、家畜に興味のある人が読むような雑誌の小さな広告だけだった。しかし、数年前にAdWordsを導入して、抜本的に広告戦略が変わった。ネットでハンドメイドのカウボーイブーツと検索すると彼の広告が出る。しかも、同じ商材を扱う大企業の広告よりも上位に表示されている」。おじいさんの今の悩みは、殺到する注文への応対だという。

 個人事業者の広告が、大企業の広告よりも上位に表示されている理由については、「クオリティが高いから」だと説明。具体的には、文章が良いといったクリエイティブ面だけでなく、より多くクリックされているため、上位に表示されているとのこと。「広告ではあるが、ユーザーが有益な情報だと判断してクリックしている」。また、「AdWordsの素晴らしいところは、広告主に利益があれば、Googleにも利益があるということ。広告主はいつでもAdWordsを停止できる」と説明した。

EC活用する日本の中堅企業は一部、今後に期待

 フィシャー氏は日本市場について、「日本はインターネットが進み、モバイルも発達している。Googleにとって重要なマーケット。日本においても、起業家をサポートすることは、米国の例と同じように成功すると思っている。Googleは、日本に出てきてから10年しか経っていないが、振り返るとさまざまな成功事例がある。しかし、今は前を向いて進んでいくことが重要」と話す。

 「日本には150万の中堅企業があるそうだが、ECサイトを持っているのは、極少数に限られる。Webに展開していない企業が、これからPCやモバイルに向けてECサイトを活用していくことは容易に想像できる」と説明。また、「日本のすべての広告費のうち、テレビは30%で、ネットは8%。ただし、日本のユーザーはテレビよりもネットに費やす時間が多いと思う。今は、テレビとネットの広告費に差があるが、今後はネット広告への出稿が増えることで、オンライン広告市場はさらに盛り上がる」とした。「そういった意味でも日本のマーケットに期待している」。

 このほか、グーグルの執行役員でオンラインビジネスソリューション本部長を務める王子田克樹氏が、日本におけるAdWordsの利用事例を紹介した。王子田氏は、「大企業から中小企業まで、AdWordsを利用してビジネスを伸ばしている。AdWordsの効果を実感してもらえるのでセールスしていて楽しい」と話す。また、「AdWordsは便利なツールではあるが、『Google Analytics』なども活用し、使い込むことが必要」だと説明。地方の中小企業の例として、福岡の不動産会社や広島のガラス製品会社、京都の竹材店を紹介した。どの事例も、立地条件やコスト面、商材の特殊さから同業他社と同じ販路では厳しいと考え、ECサイトを開設してAdWordsを導入。検索キーワードの設定などを丁寧に行っている。今では、Web検索で表示された広告からサイトを知り、注文するユーザーが大半を占めるという。

地方の中小企業の「Google AdWords」活用事例

 


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(野津 誠)

2009/6/17 14:50