EU、経済危機の打開策として光ファイバ環境の普及促進を提言


 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会の情報担当委員Viviane Reding氏はこのほど、ブリュッセルで開催されたECTAの会議の席上で、欧州でも問題となっている経済危機の打開策の1つとして、高速ブロードバンド、特に光ファイバを利用したネットワーク環境整備に投資すべきとの見解を示した。

 Reding氏は、ICT部門において最重要視すべきは、NGA(次世代アクセス)ネットワークと称される高速ブロードバンドの環境整備を行うことで、そのために加盟各国が環境整備に投資すべきであると説明。2009年3月にEU加盟27カ国の首脳によって宣言された統一的ブロードバンド戦略は重要な挑戦であり、欧州委員会でもこの要請に応じることを約束するとしている。

 また、加盟各国でも高速ブロードバンドの環境整備を進めつつあることが紹介された。たとえば、フランス政府は2012年末までに国民全世帯に最低512kbpsのインターネット接続環境を整備する計画を立てている。また、ドイツでは連邦政府が2014年までに、人口の75%に50Mbpsの高速ブロードバンド環境を提供する計画をまとめ、始動する予定となっている。英国では政府の「Digital Britain」というプロジェクトにおいて、2012年までに英国のすべての世帯に最低2Mbpsのブロードバンド環境を提供することを目標としている。

 このように、欧州各国ではアクセス回線の高速化に向けた施策が図られているほか、デジタルデバイドを解消する施策も進んでいる。欧州委員会の競争部会では、EUのブロードバンド普及率を2013年までに100%にする計画だという。欧州委員会では経済危機からの復興のため設立した50億ユーロの基金のうち、10億ユーロを高速ブロードバンドの環境整備に充てるとしている。


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(Gana Hiyoshi)

2009/6/29 13:25