YouTubeなどの影響で10代のファイル共有が減少、英調査結果


 YouTubeやMySpaceなどで音楽をストリーミングで聴く若者が増えた結果、10代におけるファイル共有の利用者が減少していることが明らかになった。メディアテクノロジー専門調査会社のThe Leading QuestionとMusic Allyが共同で、英国の1000人以上の音楽愛好者を対象に行った年次調査の結果によるものだ。

 それによると、定期的にファイル共有を行っている音楽愛好者は、2007年12月に22%だったのが、2009年1月には17%にまで減少した。特に14歳から18歳までの若者でこの傾向は顕著だった。この年齢層では、2007年12月調査で42%が最低月に一度はファイル共有を行っていた。しかし2009年1月には、26%になっていた。

 この年齢層では、65%が定期的に音楽をストリーミング聴いていることから、YouTubeやMySpace、Spotifyなどのサイトに移行している傾向がうかがえる。また、この年齢層では毎日ストリーミングを聴いている人が31%おり、音楽愛好者全体との18%と比べるとかなり多い。特に若者の間でストリーミングが流行している傾向がみられる。

 楽曲のシングルトラックについては、ダウンロード購入をしたユーザーが19%で、ファイル共有をした17%を上回った。しかしアルバムでは、ファイル共有利用者が13%で、有料購入の10%をいまだに上回っている。

 さらに違法に入手した楽曲と合法的に入手した楽曲の比率を調査した結果、2007年12月調査では、違法4に対して合法1だったのに対し、2009年1月にはこれが2対1となり、違法の比率が低下したことも明らかになった。

 こうした新しい傾向について、Music AllyのCEOであるPaul Brindley氏は、「ファイル共有は動く標的であるため、業界と政府の施策はそのことを認識する必要がある。すでに音楽を無料で入手する他の方法に置き変わりつつあるのだ。若者たちは、ファイル共有よりもYouTubeのようなサービスの方が新しい音楽をチェックするにはより便利だと考えている。しかしYouTubeでさえ、YouTube動画をリッピングして、MP3でダウンロードさせるという海賊行為の源になる可能性すらある」とコメントしている。

 また、調査を担当したThe Leading QuestionのCEOであるTim Walker氏は、「最終的に我々が思うことは、海賊行為に打ち勝つための最善の方法は、簡単で、より楽しく使える、素晴らしいライセンスサービスを作り上げることだ」とコメントしている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2009/7/14 13:30