ヤフーの第1四半期決算、コスト削減効果で増収増益を達成


 ヤフーは28日、2009年度第1四半期(4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は676億円(前年同期比3.2%増)、営業利益は342億円(同4.1%増)、経常利益は340億円(同5.2%増)、四半期純利益は192億円(同0.4%増)。ヤフーの井上雅博社長兼CEOは投資家向けの説明会で、「経済環境厳しい中ではあるが、前年同期比で増収・増益を達成した」と述べた。

 事業別の売上高は、広告事業が332億円(前年同期比1.4%減)、営業利益が187億円(同5.7%増)だった。ディスプレイ広告は、金融や不動産、自動車、人材サービスが不振だったが、化粧品やトイレタリー、飲料、嗜好品といった業種で出稿が増加した。また、行動ターゲティングは減少。一方、デモグラフィックターゲティングは女性向けの業種などを中心に増加した。

 検索連動型広告は、前年同期比でほぼ横ばい。大手広告会社経由の出稿が減少した。一方、興味関心連動型広告は増加傾向にある。「まだ始めたばかりで全体の比率では少ないが、伸び率は良い」とのこと。広告事業全体を通して、「ネット広告の本質的な価値は上がってきているが、景気の影響で悪い方に足を引っ張られた」という。ただし、「全社的なコスト削減が上手くいき、広告の営業利益アップにもつながった」。

 ビジネスサービス事業の売上高は157億円(前年同期比12.5%増)、営業利益は56億円(同2.0%増)だった。eコマース関連収入は、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!オークション」ともに増加。データセンター関連収入は、2008年度第4四半期に連結子会社となったIDCフロンティアのデータセンター事業関連収益が3カ月分寄与された。情報掲載料収入では、求人関係の売上が大きく減少した。

 パーソナルサービス事業の売上高は189億円(前年同期比6.0%増)、営業利益は132億円(同3.6%増)だった。「Yahoo!プレミアム」会員数は、2009年6月末時点で過去最大の745万IDとなり、また、2008年12月の会費値上げにより大幅な増収となった。「Yahoo!オークション」は、「消費者の低価格志向により、落札単価が下がってきている。掲載数は増えたが、売上アップにはつながらなかった」と説明。コンテンツ課金収入は、「Yahoo!パートナー」「Yahoo!コミック」「Yahoo!占い」「Yahoo!ゲーム」などのサービスで売上を伸ばした。「コンテンツを無料で楽しめるのがネットの風潮ではあるが、有料でも欲しいというコンテンツは、それなりに受け入れられている」(井上社長)。

 井上社長は、第1四半期のまとめとして、「コスト削減の効果もあり、営業利益は当初の見通しよりも上になった」とコメント。第2四半期については、売上高が660億~693億円、営業利益が328億~350億円、経常利益が328億~350億円、四半期純利益が193億~207億円との見通しを示した。IDCフロンティアやGyaOの連結子会社化、「Yahoo!プレミアム」会員費、「Yahoo!オークション」ストアロイヤルティの値上げや、成果連動広告の拡大による売上増が見込まれる一方で、ディスプレイ広告や求人関連事業は引き続き厳しい状況が続くと見ている。このほか、GyaOについては、「買収したときは通期で赤字だったため、営業利益へのインパクトは少ない。ただし、システムを共有する部分でコスト削減はできた。広告商品は鋭意取り組み中であり、なるべく早い段階で黒字化の報告をしたい」と話した。


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(野津 誠)

2009/7/28 19:36