産経新聞、ネットの話題を取り上げる「Web面」を新設


 産経新聞社は30日、インターネットに関する事柄を取り扱う「Web面」を新設した。毎週木曜日(一部地域は毎週金曜日)に掲載され、掲載内容はニュースサイト「MSN産経ニュース」やiPhone版アプリでも閲覧できる。

ネットで話題の事柄や人物を1ページを使って紙面で紹介

産経新聞に新設された「Web面」。東京本社管内の30日朝刊には12面に掲載する

 Web面は、インターネット上で話題の出来事や、インターネットと日常生活の双方に関係のある事柄を掲載する。初回となる30日の紙面では、政治家の活用例などを交えながらTwitterを取り上げたほか、7月22日に観測された皆既日食に対するインターネットでの反応などを紹介している。

 インタビューコーナーや産経新聞の記者がブログや動画コンテンツを紹介するコーナー、若者がどのように携帯電話を活用するコーナーも用意。インタビューコーナーでは初回に「2ちゃんねる」初代管理人の西村博之氏へのインタビュー記事を掲載。なお、ニュースサイト「MSN産経ニュース」では、インタビューの詳細記事や動画インタビュー映像も掲載する。

 また、インターネット上でのアンケート調査結果、インターネットに関連した今後1週間のイベントを紹介する「Webカレンダー」、「ミニ・ニュース」コーナーも掲載。加えて、インターネットで話題を集める用語を紹介する「今週のネット語」欄も設け、初回にはITジャーナリストの津田大介氏がシンポジウムなどをTwitterを使って実況中継したことが語源の「tsuda(つだ)る」が取り上げられた。

 なお、Web面は東京本社管内では毎週木曜日の朝刊、大阪本社管内では毎週木曜日の夕刊に掲載。ただし、近畿地方で夕刊のない地域は毎週金曜日の朝刊に掲載される。

 産経新聞社では、インターネットは政治や経済、国際、社会など複数のジャンルと密接に関係することから、Web面に特化した専門組織は作らない方針。このため、Web面の作成は、編集局全体で携わっていく考えだ。

 このほか、産経デジタルが運営する「iza」内に編集部ブログを開設。同ブログでは取材裏話などを紹介するほか、記事中で取りあげたWebサイトのURLも一覧で紹介する。


Web面開始に合わせて、ドワンゴやミクシィなどが広告を出稿テレビ番組欄には「ニコニコ生放送」のタイムスケジュール。広告の一部となるため、今後の掲載は未定という

産経新聞の既存読者とネットユーザー双方をターゲットに

 産経新聞社の斎藤勉常務取締役は、「これまでインターネット関連のニュースは断片的に紙面に掲載されていたが、1ページを使って掲載する試みは日本の新聞社では初めてではないか」と語った。

 斎藤常務は「私自身は団塊の世代であり、一言で言うとネット音痴だ」とコメント。その上で、「私と同じようにインターネットに敷居の高さを感じる人々が大勢いると思う」と語り、「そうした人々のためにWeb面を1つのナビゲータとしてお届けして、新しいインターネットという世界に誘っていければ」と述べた。

 一方、インターネットのヘビーユーザーに対しても、Web面を産経新聞を手にとってもらうためのキラーコンテンツとして位置づけ。「ヘビーユーザーの人々にも驚かれる事柄も取り上げてきたい」と述べ、これまでの産経新聞読者とインターネットユーザーの双方に向けた紙面作りを目指す考えを示した。斎藤常務は「週1回の掲載ではあるが、政治面や社会面などと同等にWeb面を扱っていきたい」とした。


産経新聞社の斎藤勉常務取締役別府育郎編集局編集長

 紙面概要を説明した別府育郎編集局編集長は、「Web面の性格付けは今後作り込みながら考えていきたい」とし、「インターネットの世界が実際の生活や社会にどう関係しているかを検証する場にもなればと考えている」と述べた。

 Web面自体は「MSN産経ニュース」でも閲覧可能で、一部記事は詳細情報も掲載される。別府氏は「インターネットユーザーに実際に新聞を手にしてもらうのは難しいかもしれないが、情報を集積したページがあるのは無益だとは思わない」と述べ、「情報量の面でも紙面では仕方ない部分もあるが、紙の良さや活字の良さを改めて知ってもらう価値はあるのではないか」と語った。

 なお、東京本社の7月30日付け朝刊には、Web面開始に合わせたマイクロソフトやドワンゴ、ミクシィ、サイバーエージェントの協賛広告が出稿されているほか、最終面のテレビ番組欄には「ニコニコ生放送」のタイムスケジュールも掲載されている。

 この点について、営業局の松本肇局長は「お祝い広告的な側面が強いが、新聞広告の世界でこれまで広告主ではない企業を取り込めたと自信を深められた」と述べた。また、今後は産経新聞本紙とMSN産経ニュースの連動広告も検討したい考えという。


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(村松 健至)

2009/7/30 14:11