立体映像に音、感触、香りも付加、NICTが4感覚体験システム開発


 情報通信研究機構(NICT)は4日、物の3D映像・音・感触・香りを再現し、視覚・聴覚・触覚・嗅覚の4つの感覚によるリアルな体験を可能にする「多感覚インタラクションシステム(Multi-Sensory Interaction System:MSenS)」を開発したと発表した。

 今回開発したMSenSでは、ディスプレイとハーフミラー、液晶シャッターメガネを組み合わせることで手元に映し出される風船の立体映像を、「感触提示デバイス」のペンで、弾力を感じながらへこませていくことができる。さらに強く押すと、破裂音とともに風船が割れ、特定の香りが飛び出すという仕掛けだ。


風船割りの3D映像・音・感触・香りを体験できるインタラクションシステム

 NICTのけいはんな研究所ユニバーサルメディア研究センターでは、すでに3D映像・音・感触のインタラクションシステムを開発し、2008年6月、高松塚古墳出土の「海獣葡萄鏡」を再現したシステムを発表。ガラス越しに見ることしかできなかった貴重な文化財をインタラクティブに体験できる展示システムの実用化にめどがついたとしていた。さらに今回、一辺が20mmの立方体の香り噴射装置「マイクロ・アロマ・シューター」を開発。ユーザーの鼻をめがけて香りを噴出することに成功した。

 NICTでは、食品や化粧品、芳香剤など香りのある商品を体験できるデジタルサイネージをはじめ、火災などの訓練シミュレータ、体感ゲームなどさまざまなアプリケーションへの展開が期待できるとしている。

 MSenSは、けいはんな学研都市で11月5日から7日まで開催される「けいはんな情報通信研究フェア2009」で展示される。


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(永沢 茂)

2009/11/5 11:24