MSバルマーCEOが来日、「ナチュラルUIでイノベーションを実現」


米Microsoft、CEOのスティーブ・バルマー氏
スリースクリーンからクラウド環境にシームレスに接続する世界を、NUI(ナチュラルユーザーインターフェイス)で実現するビジョンを公開

 マイクロソフト株式会社は11月5日、米Microsoft最高経営責任者(CEO)のスティーブ・バルマー氏の来日記者会見を開催。マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏も同席して、先日発表されたWindows 7の現状や今後の展開などについて語った。

 バルマーCEOはまず、イノベーションが求められる時代にあると述べ、そのイノベーションに貢献できるのがMicrosoftであると説明。先日発表されたWindows 7がそのイノベーションを実現する製品であると述べた。「Windows 7はさまざまな人にとって利用できる製品であり、非常に対応力がある。すでに多くの方に利用していただいている。発売後10日間の売り上げを見ると、 Windows XPやWindows Vistaよりもはるかによい実績となっている。特にハードウェアに関しては、対前年比で20%増となっている。Windows 7が完成した日が、CEOに就任してから一番うれしかったこと」と話すように、同社にとって重要な製品であると、あらためて強調した。

 今後の投資分野に関しては、「GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)からNUI(ナチュラルユーザーインターフェイス)へ変革するだろう。それは、PC・携帯電話・HDTVといったスリースクリーンの世界で実現する」と、音声認識技術や映像解析技術などを応用することで自然なやりとりによって操作できるNUIの世界が実現するとした。

 「この10年間をみても、携帯電話が普及し、PCは高性能化した。今後5年先・10年先を考えると、現在の技術はなにもできなかったといわれる時代になっているだろう。スリースクリーンに関して、Microsoftは一番の課題として取り組んでいる。これは、生産性や創造性、コミュニケーションといったさまざまな分野で生かすことができ、メディアやゲームの楽しみ方の変革にも影響を与える」と説明。「そして、スリースクリーンは、クラウドとともに利用することでさらに進化する」と、クラウドが同社の戦略において重要な位置づけにあると述べた。

 このスリースクリーンの世界になることで、ビジネスも大きく変わるとバルマーCEOは指摘する。「Microsoftにとってもパートナーとの関係を再構築することになるだろう。ただし、ますます収益性の高いモデルを構築することが可能であり、ここには機会がある。変わらないビジネスが必要という企業は、ITに参加する必要はない」と、ITをビジネスとする限り、変革するのが当たり前であり、的確に対応することで新たな機会が得られるとした。

 クラウド分野では、Googleなど競合も多数あるものの、Microsoftには強みがあるとバルマーCEO は強調する。「クラウド分野の市場開拓は始まったばかり。われわれはAzureを今月発表するが、このAzureはクラウドであっても企業のデータセンターであっても(Windowsという)共通のプラットフォームを利用できるのが大きな特長」と説明。「クラウドサービスでは、すでにメールやIMなどのサービスにおいてナンバーワンであり、メールシステムは5億人以上が利用している。salesforce.comと同程度にがんばっているのが Microsoftだ」と、クラウド分野でもイノベーションを発揮していると述べた。

 日本市場については、「7月から始まった今年度をみると、全世界の中でももっともよい実績を出しているのが日本法人だ」と、同社にとって米国に続いて重要な市場であるとあらためて強調。ただし、Windows Mobileの普及において、厳しい状況にあるという認識を示し、「イノベーションを発揮できるものを提供しており、これからは実行のフェーズであると考えている。あくまでも、ほかのスマートフォンに対して、優れたものを提供しなければいけない」と、携帯電話に関してもイノベーションを重視していると述べた。

 これについて、樋口社長は、「携帯電話は後発でもあり、やることはいろいろとある。特にPCの場合、 Officeなど企業で利用方法が固まってからコンシューマに発展したおかげでフォーマットが固まったが、携帯電話はコンシューマが先行しているため、各国で入力方式やインターフェイスが異なっている。ビジネスプロダクティビティから取り組んでいるが、普及に向けてコンシューマのフレーバーを入れて仕上げていく必要があると考えている」と述べ、今月リリースされるWindows Phoneから実現していくとした。

Microsoftの投資分野

 「われわれは研究開発に95億ドルの投資をしている。この金額は他社を大きく上回るもの。私自身、イノベーションに大きな期待をしている」と、イノベーションの実現のために引き続き投資を続けると述べた。



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(福浦 一広)

2009/11/5 16:37