オランダ「Mininova」が違法Torrentをすべて削除、合法化宣言


Mininovaのコンテンツ配信サービス「Content Distribution」

 オランダのTorrent配布サイト「Mininova」は26日、違法Torrentをすべて削除し、合法Torrentのみを配布するサイトに方針転換すると発表した。同サイトにとって「歴史的な日」だとしている。

 Mininovaは、Torrent配布サイトとして世界最大規模を誇っていた。しかし配布されているTorrentの中には、著作権を侵害する違法なファイルにリンクするものが非常に多かった。そのため、海賊行為に反対するオランダの組織「BREIN」がMininovaに対する訴訟を起こし、Mininovaはこれに敗訴した。

 Mininovaは公式ブログでこの判決結果について述べ、Mininovaのサービスを停止するか、あるいはコンテンツ配信サービスのみに限定するかという2つの選択肢しかなかったとしている。

 Mininovaは、アップロードされたTorrentをフィルタリングし、違法コンテンツにリンクするTorrentを削除するのは技術的にも運用的にも100%不可能と断定。コンテンツ配信サービスに業務を限定することにした。

 Mininovaのコンテンツ配信サービス「Content Distribution」は2007年に開始された。これは、著作権者の企業や個人のみが登録でき、Torrentをアップロードできるサービスだ。これまでのように誰でもTorrentをアップロードできる仕組みとは根本的に異なる。ただし、登録コンテンツはすべてDRMフリーで、無料でダウンロードできるものでなければならない。

 Mininovaに登録することによって、コンテンツ保有者の側では配信にともなう帯域幅の確保コストがなくなり、MininovaのWebサイトで簡単に検索してダウンロードしてもらえるようになる。

 この成功例として、Mininovaではオランダのバンド「Silence is Sexy」がアルバムをMininovaに登録して人気を博した結果、「Interactive Award 2009」を受賞したことや、オランダのテレビ局VPROがドキュメンタリー番組を配布するといった実績を挙げている。

 Mininovaは今回の決定によって、短期的には多くのユーザーを失うことが予想される。それらのユーザーは、海賊版Torrentが目当てだっただろうからだ。しかし数が少なくなったとはいえ、合法化された今でも、Mininovaは合法的な質の高いコンテンツを多数入手できるトップクラスのサイトだ。BitTorrentコミュニティの健全化に大きく寄与することになるだろう。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2009/11/27 11:42