IIJ鈴木社長らが「JPRSユーザー会」設立、「.日本」の政策に異議


インターネットイニシアティブ代表取締役社長の鈴木幸一氏

 21日、インターネットイニシアティブ(IIJ)代表取締役社長の鈴木幸一氏らが発起人となって「JPRSユーザー会」を設立した。会の目的は、日本レジストリサービス(JPRS)の指定事業者が、ユーザー本位の立場で言うべきことを言うべきところに対して発言していくことだという。

 発起人は、鈴木氏のほか、NECビッグローブ代表取締役執行役員社長の飯塚久夫氏、日本インターネットエクスチェンジ代表取締役社長の石田慶樹氏、ニフティ代表取締役社長の今村隆氏、ASJ代表取締役会長兼社長の丸山治昭氏、NTTコミュニケーションズ代表取締役社長の和才博美氏で、会長には鈴木氏が就任した。今後、会員を増やしていくという。

 JPRSユーザー会は、より高度な安定を求められるようになったインターネットを運用する上で、必要な情報の共有や議論を行う場としての役割を持つ。年に何度か会合を開催し、その時々でさまざまな話題を扱うことになる。当面の話題は、新ccTLDとして2010年にも導入が予定されている「.日本」だ。

 「.日本」については現在、総務省情報通信審議会における答申を受けて設立された「日本インターネットドメイン名協議会」が、「.日本」を管理するレジストリ事業者の選定に向けた準備を進めている。IIJの鈴木氏は、JPRSユーザー会の設立総会後の記者会見で、このことに対する危機感を口にした。

 私見と前置きした上で始まった鈴木氏の主張は、「.JPは、世界で最も安全なドメイン名として運用されてきた。ところが、答申では競争政策を優先し、安全や安心から離れようとしている。ユーザーの安全を考えると、この動きに危惧を感じている」ということになる。

 鈴木氏によると、そもそも多くの人にとって「.JP」も「.日本」も同じものとの認識が強いのではないかとしており、これらに対して異なるレジストリを割り当てるということは、登録ルールの違いなど異なる運用を受け入れなければならないということになる。結果としてユーザーは混乱し、余分なコスト(異なるレジストリ事業者へそれぞれ支払う登録料・維持料など)を支払わないといけなくなると指摘した。

 競争政策が常にいいわけではない――。そう語る鈴木氏は、「混乱が起きない、安定を損なわないことを優先していただきたい」「インターネットの運用を阻害しかねないことにはきちんと発言していく」と続け、現状の理想は、日本のccTLDについてはJPRSに任せておき、競争は異なるドメイン名で行うべきだと訴えた。


(左から)今村隆氏、飯塚久夫氏、鈴木幸一氏、和才博美氏、石田慶樹氏、丸山治昭氏21日に行われた「JPRSユーザー会」総会・理事会の様子

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(遠山 孝)

2009/12/21 19:52