EU、テレビのネット・デジタル化対応指令の遅れを指摘


 欧州連合(EU)のネット・デジタル化対応のため、テレビ改革指令として義務付けられた各国の国内法化が、加盟国のうちベルギー、ルーマニア、スロバキアの3カ国しか達成していないことを、EUの執行機関である欧州委員会が明らかにした。

 この指令はAVMSDという略称で呼ばれており、いわゆる「国境なきテレビ指令」の改正指令として2007年に制定され、EU加盟国は2年以内に国内法化が義務付けられていた。指令の内容は、テレビに関する規制をアナログテレビを前提としたものから、デジタルテレビや携帯テレビ、ビデオオンデマンド、インターネットなどでも対応可能な携帯に改正するもの。

 新技術への対応の一方で、国境を越えたサービスを可能にすることに対する弊害、たとえば文化の多様性の維持や、児童・消費者保護、人種・宗教問題などにも対応できるように改正されている。コンテンツ提供業者の透明性を確保する手段を定めるとともに、視聴商業通信というジャンルの定義を明らかにし、従来の放送の概念を置き換える形となっている。

 3カ国以外の加盟国も現在、国内法化の過程にある国が多く、デンマーク、フランス、ルクセンブルク、英国は、ほぼ国内法化が完了したと通知している。また、ハンガリーは、法案を提出したが議会が否決。オーストリア、ドイツ、アイルランド、マルタ、オランダは、部分的に国内法化されているが、欧州委員会には通知がされていない。他の国は現在法案の段階で、見通しも立っていない国もあるという。

 アナログかつ一方向の放送に関する規制を、デジタルかつ双方向の放送に対応するものに変更する法改正だけに、2年というタイムリミットはいささか短かった感があるが、EUではこの国内法化はEUにとってプラスになるとして、今後も推進していくとしている。


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(Gana Hiyoshi)

2009/12/24 15:57