Office 2010は「5億人のユーザーの声をもとに改善」


 マイクロソフトは18日、次期オフィスソフト「Office 2010」に関する説明会を開催した。マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 Office製品マーケティンググループ部長の田中道明氏は、Office 2010の開発にあたっては、「世界5億人のユーザーから寄せられるフィードバックや操作履歴データの分析に基づき、パフォーマンスの向上や日常的に使う機能の改善を目指した」と説明した。

パフォーマンスの向上、コピー&ペーストの改善など

マイクロソフトの田中道明氏

 パフォーマンス向上の例としては、Outlook 2010では一般的なメールタスクで26.2%、大規模メールボックスでは34.9%パフォーマンスを改善し、Outlook 2003との比較ではディスクドライブへのアクセスを82.2%削減したという。また、Excel 2010では、全体的な計算速度向上のほか、グラフの描画速度の向上や、マルチコア環境での最適化を実現。PowerPoint 2010では、DirectX 9.0を使ってコアエンジンを刷新したことにより、アニメーションや画面切り替え効果をスムーズにするなどの改善を行ったという。

 日常的に使う機能の改善としては、コピー&ペーストの改善や、リボンインターフェイスのカスタマイズ機能などを紹介。ユーザーの操作履歴データによれば、ユーザーが行う操作のうち約20%がコピー&ペーストだが、その直後に行う操作として最も多いのがアンドゥだったという。そこで、Office 2010ではコピー&ペーストの機能を改善し、貼り付けられるイメージをプレビューで見ながら、貼り付け形式を選択できる機能を追加。これにより、ユーザーが望んでいる通りのコピー&ペーストが行えるとした。

 Office 2007から取り入れられたリボンインターフェイスについては、ユーザーが好きな機能を追加できるカスタマイズ機能を導入。ファイルに対する操作は「BackStage」としてメニュー左端の「ファイル」メニューに集約され、ファイルの印刷設定や共有などの操作を簡単に行えるようにした。

 このほかの新機能としては、各アプリケーションに「スクリーンショット」というメニューが用意され、起動中の他のアプリケーションのスクリーンショットを簡単に文書に挿入できるようにした。

 また、Office IME 2010についても、変換速度などパフォーマンスを向上させたほか、XMLファイルによって拡張辞書を追加できる機能を搭載。従来の「アドイン辞書」の作成にはSDKが必要だったが、これをXMLで追加できる形にしたことでより作成が簡単になったと説明。検索エンジン「Bing」の検索上位の単語を辞書として追加するデモを披露した。

「貼り付けのオプション」で形式を選択してペーストできるリボンインターフェイスはカスタマイズが可能に
印刷や共有などファイルに関する操作を統合Office IME 2010ではXMLファイルで辞書の拡張も可能に

Outlook 2010もリボンインターフェイスを採用、定形業務用の「クイック操作」も

 個々の製品については、Outlook 2010とOneNote 2010の新機能を紹介した。Outlook 2010では、他の製品と同様にリボンインターフェイスを採用。メニューには新たに、定型処理を登録しておける「クイック操作」ボタンが追加され、「定型文を添えてメールを転送」といった一連の操作が素早く行えるようになった。日本からの要望で実現した機能としては、グループ各人のスケジュールを時間軸を横にして一覧できる機能や、アドレス帳を部署別に階層化して表示できる機能が紹介された。

 メールのスレッド表示はインデント表示となって見やすくしたほか、各スレッドの最新メールだけを残して他は削除するクリーンアップ機能を追加。また、新機能としては、OutlookとSNSを連携させる「Outlook Social Connector」も搭載。メール本文の下に送信者などの人物一覧がアイコンで表示され、その人物とやりとりしたメールやファイルなどが確認できるほか、そのユーザーが利用しているSNSの情報もOutlookから確認できるようになる。ただし、現時点ではSNSの連携機能については開発中となっている。

 OneNote 2010については、メモを書いていた時点で参照していたWebページや文書を、後でメモを確認する際に参照できる「リンクノート」機能を紹介。また、OneNoteには音声を録音する機能もあり、メモを書いていた時点の音声も同様に参照できる。Office 2007では、OneNoteは上位エディションの「Ultimate」「Enterprise」のみに含まれていたが、Office 2010では「Personal」を除くすべてのエディションにOneNoteが同梱される。

 現在、Office 2010はベータ版が公開されており、誰でもダウンロードして評価できるようになっている。また、Office 2010のベータ版では、仮想化技術を利用した「クイック実行(Click to Run)」を採用することで、10分でセットアップが完了し、既存のOffice 2007などとも併用できると説明。多くのユーザーにベータ版を体験してもらいたいと語った。

Outlook 2010に追加された「クイック操作」メニュー「定型文を付けて転送」といった定型処理が簡単に
Outlook 2010のスレッド表示「Outlook Social Connector」でのSNSとの連携も可能に
OneNote 2010の画面Office 2010ベータ版(左)とOffice 2007(右)は併用が可能

関連情報

(三柳 英樹)

2010/1/18 17:38