「中国はハッキングの最大の被害者」と中国政府報道官

Googleとの話し合いについてはコメントせず


 中国外交部の馬朝旭報道官は19日の定例会見で、Googleや米国政府との問題について従来の主張を繰り返す一方、「中国はハッキングの最大の被害者である」との新たな主張を行った。

 前回14日の定例会見時、記者からGoogleについての質問がなされた際に、姜瑜副報道局長はあえて「Google」の名前を挙げなかった。しかし今回の会見で馬朝旭報道官は、「中国における外資企業は、中国の法律と規制に従い、その関心事、文化、世間の伝統を尊重し、それに伴う社会的責任を担うべきである。Googleも例外ではない」とコメント。初めてGoogleの名前を挙げた。

 これに加えて馬朝旭報道官は発言を続け、「ハッキングについて言えば、他の国と同様に、これは中国の情報ネットワークに深刻な脅威を引き起こす。中国はハッキングの最大の被害者だと言ってもいいだろう。中国では、インターネットに接続されているコンピューター10台のうち8台は、一度はハイジャックされている。中国インターネット協会の2008年統計によれば、海外からのハッキング被害に遭った本土のコンピューターの数は、前年比148%増だった。2007年7月17日に中国気象局の関連団体である気象衛星センターのWebサイトがハッキングされた。最新の例では、2010年1月12日に中国で最大の市場シェアを持つサーチエンジンの百度が、創業以来最も深刻なハッキング被害に遭った。中国政府がハッキングについて断固として反対し、法に基づき禁じているのはそのためだ」と説明した。

 また、インドの安全保障顧問が、インド政府のWebサイトが中国からの攻撃を受けたとコメントしたと報道されていることについては、「ハッキングについて付け加えることはもう何もない。私が言いたいのは、そのような主張は全く事実無根だと言うことだ」とコメントした。

 「Googleと中国政府の間で何らかの話し合いが行われているのか」という質問については、「現在までに、Googleが中国との間で連絡を取ったのかどうかについては承知していない」とし、それ以降の関連する質問でも、この件についてはコメントしなかった。

 Googleと中国政府との話し合いについては、19日のGoogle China公式ブログにおいても、Google側から具体的な言及はなされていない。「Googleの米国幹部がインターネットガバナンスについて今後数週間以内に中国当局と話し合うことにしている」との一般論を述べるにとどめており、話し合いの行方についての情報は今のところ明らかになっていない。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2010/1/21 12:29