電子書籍におけるレンズ付きフィルム的な？　大日本印刷の「honto pocket」に新ラインナップ

　大日本印刷株式会社は10日、リアル書店で販売する電子書籍パッケージ商品「honto pocket（ホントポケット）」のラインナップ追加を発表した。吉川英治の歴史小説集など4タイトルを、東京・大阪の一部書店で同日より販売する。電子書籍専用端末にあらかじめ電子書籍コンテンツを収録した状態で販売するもので、書店で購入後すぐに電子書籍を読めるのが特徴。

「honto pocket」の電子書籍専用端末。ディスプレイは5インチ（600×800ピクセル）のE Ink電子ペーパー。本体の大きさは112.5×144.0×21.0mm（突起部含む）、重さは約130g（電池含まず）

　追加ラインナップと価格（税別）は、「吉川英治　歴史時代文庫名作集」（3万1800円）、「光文社古典新訳文庫傑作集」（5万3800円）、「三浦綾子　電子全集」（4万9800円）、「ディック・フランシス　競馬シリーズ全集」（4万2800円）。いずれも数量限定販売。

　honto pocketは昨年12月、早川書房の「アガサ・クリスティー全集」など4タイトルが発売されていた。今回、出版社4社の4タイトルが追加されるとともに、販売店舗として、丸善丸の内本店・日本橋店・お茶の水店、ジュンク堂書店池袋本店に加え、ジュンク堂書店大阪本店、MARUZEN＆ジュンク堂書店梅田店でも取り扱いを開始した。

　honto pocketは、5インチ（600×800ピクセル）のE Ink電子ペーパーディスプレイを備え、単三電池2本で駆動する電子書籍端末に電子書籍コンテンツを収録して販売するコンセプトの商品。各商品のパッケージは本の外箱風の装丁となっており、本棚に並べておくことも可能だ。

　ただし、ネットワーク機能や外部メモリスロットなどは備えておらず、購入後にユーザーが自由に電子書籍コンテンツを入れ替えることはできない。あくまでも主なのは電子書籍コンテンツの方であり、それを表示するために比較的簡易的な電子書籍端末がパッケージごとに付いているという感覚に近いかもしれない。

　大日本印刷では今後、ニーズのありそうな作品・ジャンルなどについてユーザー調査し、ラインナップを追加していく考え。また、同社グループのリアル書店である丸善やジュンク堂書店での取り扱い店舗を拡大するほか、同じくグループ会社が運営するオンライン書店「honto」での販売や、作家記念館などでの販売も予定しているという。